第10回座談会
-進行大腸癌に対する治療戦略 ─ASCO 2021を終えて─-

  

ASCO 2021が先ごろ閉会しました。進行大腸癌に関する興味深い話題も数多く提供された中、ここではSTELLAR、KEYNOTE-177、TRUSTY、CHRONOSの4つの臨床試験を取り上げ、消化器癌治療の3名のスペシャリストに議論していただきました。

STELLAR

A multicenter, randomized, phaseⅢ trial of short-term radiotherapy plus chemotherapy versus long-term chemoradiotherapy in locally advanced rectal cancer (STELLAR): The final reports.

山﨑先生:
 はじめにSTELLARの概要を結城先生に説明していただきます。
結城先生:
 STELLARはChemoradiotherapy(化学放射線療法:CRT)を標準治療群とし、とし、局所進行直腸癌(LARC)に対するShort-course RT (SCRT)→CAPOX (カペシタビン+オキサリプラチン) 4サイクルによるTotal neoadjuvant therapy (TNT)の有効性を評価した非劣性試験です(図1)。非劣性マージンはHR 1.43の設定でした。

図1:試験デザイン

 結果ですが、主要評価項目の無病生存期間(Disease-free survival:DFS)については3年DFSがTNT(SCRT)群64.5%、CRT群62.3%でHR 0.88となり(90%信頼区間0.70-1.13)、TNT(SCRT)群のCRT群に対する非劣性が検証されました(非劣性検定 p<0.001)(図2)。