第11回座談会 第一部
-肝細胞癌薬物治療レジメンの今後の展望について-

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第11回座談会は肝胆膵癌の免疫療法をテーマに各分野のエキスパートの先生方にお集まり頂き、全3回シリーズでお送りします。第1回目の今回は肝臓編として、ASCO-GI 2022で発表されたHIMALAYA試験試験の結果をはじめとする肝細胞癌治療の最新のトピックスについて池田先生に解説いただき、それを踏まえたディスカッションをしていただきました。

はじめに

池田先生:
 肝細胞癌の薬物治療について日本の承認状況はみなさんご存じの通りかと思いますが、肝癌診療ガイドライン2021年版では一次治療はアテゾリズマブ(Atezo)+ベバシズマブ(Bev)となっており、自己免疫性疾患などのためにこの治療が適さない場合にはソラフェニブ(Sora)またはレンバチニブ(Lenva)が推奨されています。
肝細胞癌に対するAtezo+Bev併用療法を検討したIMbrave150試験のUpdate 2021では、全生存期間19.2ヵ月という結果が出ており、これまでだいたい13ヵ月しかなかったOSが1年半から2年近くにまでに延びるようになりました。ただ無増悪生存期間はまだ6.9カ月と限られています。
このような現状ですが、近い将来、Tremelimumab(Treme)+Durvalumab(Durva)が承認されるのではと言われています。このレジメンについてASCO-GI 2022でHIMALAYA試験の結果が出てきましたので、解説したいと思います。

HIMALAYA

 HIMALAYA試験は進行肝細胞癌の初回薬物療法例を対象として、T300+D(Treme 300mg+Durva 1500mg, q4w)、Durva 1500mg, q4w、Sora 400mg, bid、T75+D(Treme 75mg, q4wX4+Durva 1500mg, q4w)の4つのレジメンを比較する第Ⅲ相試験です(図1)。T75+Dは第II相試験の結果をもって中止され、3群の比較試験となりました。主要評価項目は生存期間です(T300+D vs. Sora,Durva vs. Sora)。

図1

 結果としてT300+D vs. Soraの生存期間ではT300+DがSoraと比べて有意に良好な結果が示されました(T300+D群16.4カ月、Sora群13.8カ月、HR=0.78[95%CI:0.65-0.92]、p=0.0035)(図2)。36カ月の段階で約30%の人が生存し、良好な生存期間が示されています。ここで長期生存が得られている人はCR(完全奏効)に近い状態であるということも考えられます。