STAR-TREC phase II: Can we save the rectum by watchful waiting or transanal surgery following (chemo)radiotherapy versus total mesorectal excision for early rectal cancer?
First Author : Salah-Eddin Al-Batran, et al.
STAR-TREC phase II: 早期直腸癌に対する (化学)放射線療法後の経肛門的腫瘍局所切除あるいはWatchful waitingにより臓器温存は可能か?
背景
局所進行直腸癌では術前に放射線治療が用いられることが世界的には標準的治療であり、化学放射線療法後の予定手術を延期しWatch and Waitを行うことで副次的に臓器温存が得られる可能性がある。対して早期直腸癌に対する標準治療はTotal Mesorectal Excisionを基本とした根治的切除であり、放射線治療はルーティンでは行われない。早期直腸癌に対して標準治療であるTME手術と臓器温存を目的とした治療の前向きランダム化比較試験は行われていない。
本STAR-TREC試験は、早期直腸癌に対して臓器温存を目的とした治療とTME手術の治療完遂率を評価するランダム化第2相試験である。
対象と⽅法
本試験の対象は、生検で腺癌と診断された長径40㎜以下のmrT1-3b(MRIでの深達度診断)N0Mx/0直腸癌患者、ECOG PS 0-1でMultidisciplinary teamでTME、放射線治療を含めた治療が完遂できると判断された患者だった。主な除外基準は4㎝を超える原発巣を有する症例、MRI評価で、壁外静脈侵襲(mriEMVI)を有する症例、mesorectal fascia (MRF)浸潤が1mm以上、リンパ節転移を来した症例、、CTで遠隔転移を有すると判断された症例、腫瘍の前方が腹膜翻転部を超えた症例だった。
患者は標準治療である初回治療TME群(根治治療群)、short course RT(5×5Gy)を用いた臓器温存治療群(sRT群)、long course RT(25×2Gy)+カペシタビンを用いたCRTでの臓器温存治療群(CRT群)の3群に1:1:1にランダムに割り付けられた。sRT群、CRT群は11~13週に1回目の治療評価を行い、poor responseであればTMEが行われた。次に16週から20週までの間にComplete response(CR)が得られない場合は局所切除を行うかそれも不可能ならばTMEが行われ、腫瘍の切除が完全に行われた。20週までにCRが得られた症例、またはincomplete responseでも局所切除が行われた症例はWatch &Waitが行われた(図1)。