ASCO-GI 2020 FLASH REPORT - Abstract 100 -

VOLTAGE-B study: Nivolumab monotherapy and subsequent curative surgery following preoperative chemoradiotherapy in patients with locally recurrent rectal cancer (LRRC) without previous radiotherapy.

Takeshi Kato, et al.

背景

局所再発した直腸癌に対し、初回治療時に放射線治療が行われていなければ、フッ化ピリミジン製剤を用いた化学放射線療法後に根治切除が行われることが多い1)。抗PD-1抗体は放射線との併用療法の有効性が示唆されている。そのメカニズムのひとつとして、in vivoでの実験では放射線と抗PD-1抗体の併用により腫瘍細胞での腫瘍抗原の発現亢進およびリンパ節での抗原提示細胞を介した腫瘍特異的T細胞の活性化が起こり、T細胞の腫瘍内への浸潤が増加していたことが報告されている2)。また、放射線と抗PD-1抗体の併用により、放射線の照射範囲外の腫瘍も縮小させることが報告されており、abscopal効果とよばれる3)
VOLTAGE-A試験では、遠隔転移を伴わないT3-4の直腸癌に対し術前化学放射線療法+原発巣切除にニボルマブが加えられ、病理学的完全奏効割合(pCR割合)はMicrosatellite-stable (MSS)の直腸癌で30%であった4)。同治療の局所再発の直腸癌に対する有効性・安全性を評価する目的でVOLTAGE-B試験が行われた。

対象と方法

骨盤内に局所再発し、再発巣が切除可能な直腸癌患者が対象であった。プロトコール治療としては局所再発した直腸癌に対して化学放射線療法(50.4Gy+カペシタビン 1,650 mg/m2)を行った後に、ニボルマブ(240 mg/body、2週毎)の投与が最大5コース行われ、引き続いて再発巣の根治手術が行われた(図1)。
主要評価項目はAJCC tumor regression gradeを用いたpCR割合および根治手術施行割合、副次評価項目は全奏効割合(ORR)、無再発生存期間(RFS)、全生存期間(OS)、術前治療としてCRT後にニボルマブ療法を行うことの安全性、プロトコール治療完遂割合と設定された。

図1. 試験デザイン

Abstract 100
(発表者の許可を得て掲載)

結果

2018年5月から10月までの間に10例が登録され、9例で根治切除が行われた。患者背景を表1、手術成績を表2に示す。MSI statusについてはMSSが9例、未測定が1例であり、MSI-Hの症例は含まれなかった(表1)。
手術が行われた全例でR0切除が可能であった(表2)。

表1. 患者背景

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(発表者の許可を得て掲載)

表2. 手術成績

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(発表者の許可を得て掲載)

pCRは10例中1例(10%)に認められた(表3)。

表3. 病理学的完全奏効割合(主要評価項目)

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(発表者の許可を得て掲載)

Data-cut off(2019年4月)時点では3例で再発が認められた。RFSやOSはmedianに達していなかった。

安全性

有害事象としてはニボルマブ関連のものとしては紅斑が1例、甲状腺機能亢進が1例に認められたがGrade ≧3は認められなかった。
手術関連の有害事象としては全gradeが8例(88.9%)、Grade 3/4が6例(66.7%)で認められた。
重篤な有害事象(SAEs)は5例で認められたが治療関連死は認められなかった。

表4.主な有害事象(10%以上発現。CTCAE ver.4.0)

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(発表者の許可を得て掲載)

結語

局所再発したMSS直腸癌に対する化学放射線療法+根治切除にニボルマブを併用しても忍容性は保たれており、またpCRが10%に認められ、R0切除は90%で可能であった。

コメント
 MSS直腸癌の局所再発に対する化学放射線治療後にニボルマブによる免疫療法を加えることでpCR割合(病理学的完全奏効割合)が向上することが期待された。
 本試験は、一連のVOLTAGE試験のコホートBである。コホートAは切除可能初発直腸癌、コホートBが切除可能直腸癌局所再発、そしてコホートCが切除可能転移性肺または肝腫瘍を有する初発直腸癌症例に術前化学放射線治療および逐次療法としてニボルマブ単剤治療を行う方法である。このコホートBは全体が探索的位置づけで10例と登録数は少なく、pCRも1例のみであった。局所再発が化学放射線治療でどれぐらいpCRとなるのか過去の試験もないため評価は難しい。しかし、もう少し病理学的奏効が高くてもよかったかと思う。
 この試験だけからはMSS直腸癌再発例に対しCRT後にニボルマブを加えることの意義は不明確である。そのほかの探索的解析の結果を待ちたい。
監修:九州大学大学院 消化器・総合外科 第二外科 診療准教授 沖 英次
References
1) NCCN Guidelines Version 1. 2020
2) Sharabi AB et al. Cancer immunology research. 2015; 3: 345-55.
3) Park SS et al. Cancer immunology research. 2015; 3: 610-9.
4) Yoshino T., et al. ESMO 21st World Congress on Gastrointestinal Cancer 2019
執筆:静岡県立静岡がんセンター 消化器内科 レジデント 古田 光寛 先生

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