ASCO-GI 2020 FLASH REPORT - Abstract 374 -

An open-label phase II study of lenvatinib plus pembrolizumab in patients with advanced gastric cancer (EPOC1706).

Akihito Kawazoe, et al.

背景

 切除不能進行再発胃癌において抗PD-1抗体薬であるペムブロリズマブ単剤の奏効割合(ORR)は15%程度であるとKEYNOTE-061、KEYNOTE-062試験で報告されている。レンバチニブはVEGFRなどに対するマルチキナーゼ阻害薬であり、本邦では2020年1月現在、切除不能な肝細胞癌、根治切除不能な甲状腺癌に対して保険適応となっている。レンバチニブはin vivoにおける検討で、腫瘍周囲環境における腫瘍関連マクロファージを減少させ、細胞障害性T細胞の浸潤を増加させPD-1阻害薬の抗腫瘍活性を増強すると報告されている。以上より、レンバチニブとペムブロリズマブの併用療法の有効性と安全性を探索する第2相試験を計画した。

対象と方法

 本試験の対象は、切除不能進行再発胃癌、ECOG PS(performance status) 0-1、測定可能病変を有する症例。患者はレンバチニブ20mgを1日1回連日内服し、3週に1回ペムブロリズマブ200mgを静脈投与された。

 主要評価項目は奏効割合(ORR)、副次的評価項目として病勢制御割合(DCR)、無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)、安全性を検証した。ORRの閾値を10%、期待値を30%とし、片側α= 5%、検出力= 80%で29例が必要であった。バイオマーカー探索のため、Tumor mutation burden(TMB)、PD-L1 combined positive score (CPS)が測定された。

結果

 2018年10月から2019年3月までに29例が登録された。ほとんどの症例がPS 0 (90%)で、初回治療例が半数(48%)、HER2陽性は17%であった。ミスマッチ修復遺伝子欠損(MMR-deficient)が2例(7%)、EBV陽性は1例(3%)、PD-L1 CPS ≧ 1は19例(66%)、TMB中央値は10.01であった(表1)。

表1

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(発表者の許可を得て掲載)

【有効性】

 すべての症例で縮小が認められ、ORR 69%(95%CI:49-85)、DCRは100%であった(95%CI:88-100)(図1)。

図1

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 治療奏効期間の中央値は6.9ヶ月(範囲:2.8-12.0)であり、12例で治療が継続中である(図2)。

図2

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 1例でCRが得られ、PRが得られた症例の多くは奏効期間が長かった(図3)。

図3

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 PFS中央値は7.1ヶ月(95%CI:4.2-10.0)であり(図4)、OS中央値は未到達であった(図5)。

図4

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(発表者の許可を得て掲載)

図5

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 サブグループに関わらず、ほとんどは高いORRが得られていたが、腹膜播種症例やPD-L1 CPS<1の症例では各々44%、40%と低い結果であった(表2)。

表2

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 CPS ≧ 1症例でPFS中央値が7.1ヶ月、CPS<1症例では5.4ヶ月でありCPS ≧ 1で治療効果が高い傾向を認めた。CPS<1に限定した解析では、TMB highのPFS中央値は9.1ヶ月、TMB lowでは5.4ヶ月であった(図6)。

図6

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(発表者の許可を得て掲載)

【安全性】

 Grade 3以上の治療関連有害事象は、高血圧を38%、蛋白尿を17%、血小板減少を7%に認めた(表3)。

表3

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(発表者の許可を得て掲載)

結語

 切除不能進行再発胃癌に対する、レンバチニブとペムブロリズマブの併用療法は高い抗腫瘍効果を示し、安全性も許容できるものであり、今後はさらに大規模な試験での検討が必要である。

コメント
 切除不能進行再発胃癌に対する抗PD-1抗体薬は、単剤療法としてニボルマブが三次治療以降でPlaceboに対する有効性を示し(ATTRACTION-2)、またペムブロリズマブがPD-L1 CPS ≧1の一次治療において標準治療(フッ化ピリミジン系薬剤/シスプラチン併用療法)に対する非劣性を示したものの(KEYNOTE-062)、その効果は十分とは言いがたい。これまでに、抗PD-1抗体薬と殺細胞性抗癌剤との併用療法が開発されてきたが、一次治療におけるフッ化ピリミジン系薬剤+シスプラチン療法に対する併用(KEYNOTE-062)、二次治療におけるパクリタキセル療法との併用(KEYNOTE-061)ともに有効性を示すことができなかった。
 このEPOC1706試験の結果より、マルチキナーゼ阻害薬であるレンバチニブとの併用療法の有効性、安全性が確認され、今後この結果が検証されれば、切除不能進行再発胃癌における抗PD-1抗体薬の位置づけ、さらには治療体系の大きな変化に繋がるものと思われる。また2019年のASCOで同グループから報告された切除不能進行再発胃癌/大腸癌既治療を対象としたレゴラフェニブとニボルマブの併用療法の第1b相試験(EPOC1603試験)でも有望な結果が得られており、今後、これら免疫チェックポイント阻害薬の有効性を最大化できるような治療法の開発を期待したい。
監修:静岡県立静岡がんセンター 治験管理室 部長 兼 消化器内科 医長 山﨑 健太郎
執筆:香川大学医学部附属病院 腫瘍内科 助教 大北 仁裕 先生

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