2021 Gastrointestinal Cancers Symposium

Abstract8 大腸癌


A phase II clinical trial platform using total neoadjuvant therapy (TNT) in locally-advanced rectal cancer (LARC)—Pembrolizumab experimental arm (EA) primary results.

First Author : Osama E Rahma, et al.

局所進行直腸癌に対するTNTの第2相試験(NRG-GI002(TNT)試験)―ペムブロリズマブ試験群の結果―

背景

 局所進行直腸癌(Locally advanced rectal cancer; LARC)に対する標準治療は術前化学放射線療法、手術、術後補助化学療法である。術前化学放射線療法後のpCR率は20%程度でしかないにも関わらず、術後補助化学療法のコンプライアンスは高くない。Total neoadjuvant chemotherapy(TNT)は術前にIntensiveな全身化学療法と放射線治療をsequentialに行う方法であり、pCR率は通常の化学放射線治療より高く、TNT後の根治切除術後の局所再発率も低い(5-6%)。また、一方で長期生存率は65%程度でありTNTには、まだ開発の余地がある。
放射線療法により免疫原性細胞がアポトーシスを起こし、ICAM-1、MHC-1、Fasといった免疫原性細胞表面マーカーやサイトカインが分泌され、T細胞(Th1)よりINF-γが産生される。結果として癌細胞にPD-L1が発現し、癌の免疫逃避が起きる1) (図1)。
これらのことよりTNTに免疫チェックポイント阻害剤を併用することでTNTの効果が増すのではないかと考えられた。

図1. 背景

Abstract 8
(発表者の許可を得て掲載)

対象と方法

 本試験の対象は、治療歴がなく臓器機能が保たれているECOGが0-2のstage IIもしくはIIIの直腸癌患者である。以下の規定に合致する局所進行直腸癌とした。
 1. 肛門縁から5cm以内のcT3-4 any N症例
 2. 肛門縁から12cm以内のcT4症例 (mesorectal fasciaまでの距離が3mm以内)
 3. 4つ以上のリンパ節転移 (cN2)
 4. 術前治療前には括約筋間直腸切除術の対象ではない症例
 コントロール群ではmFOLFOX6療法を8コース施行した3-4週間後に化学放射線療法としてカペシタビン併用放射線療法が行われた。540cGyを3回ブースト照射したのちに45Gyの照射が行われた。その後、8-12週間後に手術が行われた。
試験群ではmFOLFOX6療法を8コース施行したのちに化学放射線療法とペムブロリズマブの投与が行われた。ペムブロリズマブ投与は放射線療法が始まった日より3週間ごと6回の投与が行われた。
本試験の主要評価項目はNeoadjuvant Rectal (NAR) Scoreだった2) (図2)。

図2. 試験デザイン

Abstract 8
(発表者の許可を得て掲載)

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