Abstract 1161 血友病


AOZORA Study: Interim Analysis of Joint Health in Children with Hemophilia A, without FVIII Inhibitors, 3 Years after Initiating Emicizumab

First Author : Midori Shima

AOZORA研究:インヒビター非保有血友病A小児患者におけるエミシズマブの関節への効果,エミシズマブ開始3年後の中間解析の報告

背景

 血友病A患者の多くは出血による進行性の関節障害を合併するが,そのリスクは出血予防により低下する。エミシズマブは,活性型第Ⅺ因子と第Ⅹ因子に結合する二重特異性抗体で,活性型第Ⅷ因子の作用を代替することで血友病A患者において止血効果を発揮し,出血予防治療として高い有効性と安全性が報告されている。しかしながらエミシズマブの長期にわたる関節への効果はまだわかっていない。

対象と⽅法

 AOZORA研究は,現在進行中のインヒビター非保有の小児患者を対象としたエミシズマブによる長期安全性及び関節に与える影響を評価する製造販売後臨床試験(第四相試験,JapicCTI-194701)で,組み入れ基準は,12歳未満で体重が3kg以上の重症血友病Aで,新規にエミシズマブを開始された症例と第三相試験のHOHOEMI研究からの継続症例が対象となっている(Shima et al. BMJ Open 2022)。
主要評価項目は,有害事象と関節所見で,関節所見の評価としてMRI所見(IPSG スコアによる評価),および血友病関節健康スコア(HJHS ver 2.1)を使用した。IPSGスコアは,MRIで軟部組織と骨・軟骨組織に関節症性変化を認めれば加点される仕組みで0点はMRIで所見がないことを示す。

結果

〈患者背景〉

 30名の患者がAOZORA研究に登録されたが,今回はHOHOEMI研究から継続して登録された10名の145週目における中間解析が報告された。年齢の中央値は5.9(1.5-10.7)歳で,登録時に2歳未満が2名いた。過去にインヒビターのためにITIを実施された症例が2名いたが,録時点でインヒビターは消失していた。全ての患者が登録前に定期補充療法を導入されており,1例が標的関節(左膝関節)を有していた(図1)。

〈有害事象〉

 3年の観察期間中,血栓症とTMAの発症は見られなかった。3名に4つの重篤な有害事象が認められ,その内訳は,外傷後疼痛,軟部組織血腫,頭蓋骨折と硬膜下血腫で,エミシズマブと関連のある重篤な有害事象の報告はなかった。エミシズマブと関連のある有害事象は注射部位反応の1件のみであった(図1).

図1 患者背景と有害事象
Baseline Characteristics and Safety(1’06”のスライド)

Abstract 1161

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