Unravelling the Effect of Blood Type on FVIII:C Levels and Response to DDAVP in 20 Males with a Single Genotype (Twillingate Variant) Causing Mild Hemophilia Α
First Author : Caroline Malcolmson
単一遺伝子変異を有する20名の血友病A患者における血液型が第Ⅷ因子活性に及ぼす影響と,DDAVPによる治療効果の検討
背景
- 友病Aは第Ⅷ因子をコードするF8遺伝子の変異により第Ⅷ因子の量的,若しくは質的に低下することが病因であり,1,000種類以上の変異が知られている。
- 軽症・中等症血友病Aでは,変異の種類が第Ⅷ因子活性に影響する。
- ABO血液型は第Ⅷ因子活性に影響することが知られているが,血友病Aの多様な遺伝学的背景のため,血液型の影響の評価は難しい。
カナダにはc.6104T>C, p.Val2035Ala変異(6104番目のC→Tの一塩基置換により2035番目のアミノ酸がValがAlaに置換される変異)を有する軽症・中等症血友病Aの大きな集団がある。この変異集団は200年前にニューファンドランド島トウィリンゲートで形成され,トウィリンゲート変異と呼称される。
本研究では,同一変異を有する患者の第Ⅷ因子産生量は同定度であるが,血液型による第Ⅷ因子とVWFの半減期の差により第Ⅷ因子活性に差が生じるという仮説のもと,単一遺伝子変異を有する血友病A集団で,血液型が第Ⅷ因子活性に及ぼす影響とデスモプレッシンによる効果との関連を検討した。
対象と⽅法
本研究は単一施設による後ろ向きコホート研究で,対象は1980年1月1日から2022年3月1日までに当該施設で治療を受けたトウィリンゲート変異を有する血友病A男性である。各症例の血液型, VWF抗原量・活性値,および非出血時の第Ⅷ因子活性の最低値と平均値を調査しベースラインとした。デスモプレッシンの使用については,使用時の年齢,用量,投与経路,および投与1時間後の第Ⅷ因子活性を調査し,ベースラインとデスモプレッシン投与1時間後の活性の差と上昇率を算出し,上昇率が50%以上をResponder,30〜49%をPartial responder,30%未満をNon responderと定義した。
O型と非O型, 12歳未満と12歳以上に分け,T検定(正規分布)とMann-Whitney U(非正規分布)で検討した。
結果
20名が登録され,そのうち9名(45%)がO型,11名(55%)が非O型(10名がA型,1名がB型)であった。12歳未満の群では,O型の第Ⅷ因子活性の最低値と平均値は非O型に比べ優位に低かった(表1,ベースライン最低値 O型:5(4-7)%,非O型8(5-13)%,p=0.05,ベースライン平均値:O型8(7*9)%,非O型 12(9-17)%,P=0.02)。12歳以上の群でも同様であった(図1).