ESMO World Congress on Gastrointestinal Cancer 2020

Abstract LBA-5 大腸癌


ANCHOR CRC: a single-arm, phase 2 study of encorafenib, binimetinib plus cetuximab in previously untreated BRAF V600E–mutant metastatic colorectal cancer.

First Author : Grothey A, et al.

ANCOR CRC:前治療歴のないBRAF V600E遺伝子変異を伴う切除不能大腸癌に対するビニメチニブ、エンコラフェニブ及びセツキシマブ併用療法の単アーム第2相試験

背景

 BRAF V600E遺伝子変異は大腸癌患者の10-15%に認められ、予後不良であることが知られている。殺細胞性抗癌剤を中心とした従来の化学療法の治療効果は乏しく、一次治療においてイリノテカンを含む殺細胞性抗癌剤±セツキシマブでは生存期間中央値 10-14ヶ月、無増悪生存期間中央値 6-8ヶ月、奏効割合 15-19%と報告されている。
BRAF V600E遺伝子変異を伴う大腸癌に対してはBRAF阻害剤単剤のみではfeedbackによりEGFRの活性化を来すため無効とされ、複数のMAPK経路を阻害することでfeedbackによる耐性機構を克服すると考えられている[図1]。BRAF V600E遺伝子変異を伴う切除不能大腸癌に対する新たな一次治療開発のためにANCOR CRC試験が行われた。

図1 MAPK経路および各薬剤の作用機序

Abstract LBA-5
(発表者の許可を得て掲載)

対象と方法

 ANCOR CRC試験は2-Stageデザインの単アーム第2相試験である [図2]。
 前治療歴のないBRAF V600E遺伝子変異を伴う切除不能大腸癌が対象であり、BRAF阻害剤であるエンコラフェニブ、MEK阻害剤であるビニメチニブおよび抗EGFR抗体薬であるセツキシマブを用いた3剤併用レジメンが投与された。Stage 1に登録された40例のうち12例以上で奏効が認められた場合にのみStage 2へ進み、合計90例が解析対象となるように計画された。主要評価項目は主治医評価による客観的奏効割合(confirmed)であり、副次評価項目は無増悪生存期間、全生存期間、安全性、QoL、薬物動態と設定された。
 今回の発表ではStage 1で登録された41例の治療成績が報告されている。本発表のデータカットオフは2020年2月6日であり、その段階で41例中9例(22%)が治療継続中であり、治療中止に至った32例の内、病勢進行による中止が最も高頻度だった。

図2 試験デザインおよび症例集積

Abstract LBA-5
(発表者の許可を得て掲載)
 

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