Gut microbiome to predict survival time in advanced gastric cancer treated with nivolumab: the DELIVER trial (JACCRO GC-08)
First Author : Yu Sunakawa, et al.
進行胃癌におけるニボルマブ治療症例の生存期間を予測するための腸内細菌叢の検討(JACCRO GC-08)
背景
- 腸内細菌叢の組成と抗PD-1抗体を用いた免疫療法の有効性との関連は様々な癌腫で報告されているものの、胃癌での報告は少ない。
- 我々は、進行胃癌におけるニボルマブの宿主関連バイオマーカーを糞便検体を用いて探索する観察研究(DELIVER試験):JACCRO GC-08を実施し下記の報告を行ってきた。
- 上皮細胞への細菌浸潤に関わるゲノム経路がニボルマブの治療抵抗性を予測できる可能性がある。
- 胃癌特異的な腸内細菌叢が潜在的な臨床バイオマーカーとして同定された1)。
- 今回、新たに腸内細菌叢の属及びゲノム経路と生存期間との関連について報告する。
対象と方法
- 試験デザイン
- 本試験は進行胃癌に対してニボルマブ単剤療法を受けた日本人500例を対象とした多施設共同前向き観察研究である。
- 糞便と血液を採取して、宿主関連因子(腸内細菌叢、遺伝子多型、遺伝子発現量、代謝産物)を調査した。
- ニボルマブ初回投与前と治療終了時に糞便と血液を採取、糞便はショットガンシーケンスに、血液は遺伝子発現量、遺伝子多型、メタボローム解析に使用した。
- 主な適格基準は以下の通り。
1. 進行胃癌/胃食道接合部癌症例
2. PS0-2
3. 20歳以上
4. ニボルマブ治療を受けている症例 - DELIVER試験(バイオマーカーの部分、ASCO-GI2021発表済み)
主要評価項目:腸内細菌叢におけるゲノム経路と治療効果との関連
副次的評価項目:腸内細菌叢の他のマーカーと臨床結果との関連
- 統計学的事項
本研究は、二つのstepから構成されている。Step1は、Training cohortとして登録初期200例の検体を用いてコックス回帰分析を行い、生存期間(OSとPFSそれぞれ)と関連する候補のゲノム経路と細菌の属をp-value順に上位30種まで絞り込んだ。その後、Step2はValidation cohortとして、登録後期300例でその候補の検証を多重比較法(Bonferroni法)にて行った(図1)。
図1 統計学的事項
(発表者の許可を得て掲載)