対象疾患 | 治療ライン | 研究の相 | 主要評価項目 | 実施地域 | 日本の参加 |
---|---|---|---|---|---|
胆道癌 | 一次治療 | 第2相 | 1年生存割合 | 国内 | あり |
試験名 :BT22
レジメン:ゲムシタビン(GEM)+シスプラチン(CDDP) vs GEM
登録期間:2006年9月〜2008年10月
背景
イギリスでは、GEM+CDDPとGEMを比較するランダム化第2相試験(ABC-01試験)の結果に基づき、ランダム化第3相試験(ABC-02試験)が実施されている。ABC-01試験でのGEM+CDDPの良好な有効性が示されたため、本邦でもGEM+CDDPとGEMを比較するランダム化第2相試験(BT22試験)の実施に至った。
シェーマ
統計学的事項
主要評価項目:1年生存割合
本試験は、主要評価項目を1年生存割合とした。1年生存割合をGEM群 25%、GEM+CDDP群 35%と想定し、GEM+CDDPを80%以上の確率で正しく選択できるようにSimonの選択デザインを用いてサンプルサイズを計算すると、片群30例となる。安全性と有効性の評価の精度を最適にするため、片群42例の登録が必要と設定された。試験結果:
- 2006年9月から2008年10月の間に、国内9施設より84例が登録され、1:1の割合で42例ずつGEM+CDDP群とGEM群に割り付けられた。GEM+CDDP群の治療を受けなかった1例を除外し、有効性・安全性対象解析はGEM+CDDP群 41例、GEM群 42例を対象とした。
- 患者背景に大きな隔たりは認められなかったが、乳頭部癌の割合はGEM+CDDP群で高かった。
- 治療期間中央値は、 GEM+CDDP群 6.0サイクル、GEM群 4.0サイクルであった。
1. 全生存期間・1年生存割合(主要評価項目)
OS中央値 | 95%信頼区間 | 1年生存割合 | 95%信頼区間 | HR 0.69 (95%C.I. 0.42-1.13) p=0.139 |
|
GEM+CDDP(n=41) | 11.2ヶ月 | 9.1-12.5 | 39.0% | 23.7-54.4 | |
GEM(n=42) | 7.7ヶ月 | 6.1-11.0 | 31.0% | 17.0-44.9 |
2. 無増悪生存期間
PFS中央値 | 95%信頼区間 | 6ヶ月無増悪生存割合 | 95%信頼区間 | HR 0.66 (95%C.I. 0.41-1.05) p=0.077 |
|
GEM+CDDP(n=41) | 5.8ヶ月 | 4.1-8.2 | 47.4% | 31.4-63.4 | |
GEM(n=42) | 3.7ヶ月 | 2.1-5.3 | 27.7% | 14.0-41.5 |
3. 奏効割合
奏効割合 | p=0.380 | |
GEM+CDDP(n=41) | 19.5% | |
GEM(n=42) | 11.9% |
4. 病勢制御割合
病勢制御割合 | p=0.119 | |
GEM+CDDP(n=41) | 68.3% | |
GEM(n=42) | 50.0% |
5. 有害事象(CTCAE ver.3.0)
GEM+CDDP(n=41) | GEM(n=42) | |||
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全Grade | Grade 3以上 | 全Grade | Grade 3以上 | |
白血球減少 | 87.8% | 29.3% | 69.0% | 19.0% |
好中球減少 | 82.9% | 56.1% | 69.0% | 38.1% |
貧血 | 85.4% | 36.6% | 85.7% | 16.6% |
血小板減少 | 80.5% | 39.0% | 76.2% | 7.2% |
食欲不振 | 80.5% | 0% | 61.9% | 4.8% |
嘔気 | 68.3% | 0% | 42.9% | 0% |
疲労 | 58.5% | 0% | 50.0% | 2.4% |
6. 層別化因子ごとの全生存期間
GEM+CDDP(n=41) | GEM(n=42) | P-value | |||
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中央値 | 95%信頼区間 | 中央値 | 95%信頼区間 | ||
原発部位 | |||||
胆嚢癌 | 9.1ヶ月 | 6.9-11.6 | 6.7ヶ月 | 4.2-11.0 | 0.675 |
胆嚢癌以外 | 13.0ヶ月 | 9.2- | 8.0ヶ月 | 6.1-16.0 | 0.110 |
原発巣切除 | |||||
あり | 9.4ヶ月 | 8.7-11.6 | 7.4ヶ月 | 5.9-8.5 | 0.253 |
なし | 16.1ヶ月 | 12.3- | 12.7ヶ月 | 6.5- | 0.389 |
結語
本試験の結果、GEM+CDDPは有効性と忍容性が良好であることが示され、日本人に対しても標準治療となることが示唆された。
執筆:杏林大学 腫瘍内科学 助教 岡野 尚弘 先生
監修:神奈川県立がんセンター 消化器内科 肝胆膵 部長 上野 誠 先生
監修:神奈川県立がんセンター 消化器内科 肝胆膵 部長 上野 誠 先生