胆道癌 FIGHT-202

Pemigatinib for previously treated, locally advanced or metastatic cholangiocarcinoma: a multicenter, open-label, phase 2 study

Abou-Alfa GK,et al, Lancet Oncol. 2020 Mar; 21(5): 671-684. [PubMed]

対象疾患 治療ライン 研究の相 主要評価項目 実施地域 日本の参加
胆道癌 二次治療以降 第2相 奏効割合 国際共同 あり

試験名 :FIGHT-202

レジメン:Pemigatinib

登録期間:2017年1月17日〜2019年3月22日

背景

Fibroblast growth factor receptor(FGFR)2遺伝子異常は胆道癌における発癌に関与することが知られている。PemigatinibはFGFR1、FGFR2及びFGFR3に対する選択的な阻害薬である。FIGHT-202試験は、化学療法歴のある切除不能な胆道癌患者を対象に、pemigatinibの有効性及び安全性を検討することを目的とした非盲検非対照第2相試験であり、最終解析結果が報告された。

シェーマ

統計学的事項

主要評価項目:奏効割合(FGFR2遺伝子融合/再構成コホート, RECIST ver.1.1, 中央判定)

FGFR2遺伝子融合/再構成コホートの目標症例数について、試験計画時には60例と設定されていたものの、治験実施計画書の改訂が行われ、100例に変更された(期待奏効割合33%、閾値奏効割合15%、検出力95%、有意水準5%)。

試験結果:

  • 登録期間において、1206例を対象に、FoundationOne(F1)を用いたプレスクリーニングが実施され、FGF/FGFR遺伝子異常を有する61例が適格とされた。当該61例に加えて、既に治験実施施設においてFGF/FGFR遺伝子異常を有することが判明している85例が適格とされ、計146例が登録された。
  • 登録症例は、F1によるプレスクリーニング又は中央判定に基づき、FGFR2遺伝子融合/再構成コホート(107例)、他のFGF/FGFR遺伝子異常を有するコホート(20例)及びFGF/FGFR遺伝子異常を有しないコホート(18例)にそれぞれ組み入れられた。
  • 全体集団及びFGFR2遺伝子融合/再構成コホートの観察期間の中央値は、それぞれ17.8ヶ月及び15.4カ月だった。
  • 原発部位は、全体集団(146例)において、肝内胆管130例(89%)、肝外胆管12例(8%)、その他4例(3%)、FGFR2遺伝子融合/再構成コホートにおいて、肝内胆管105例(98%)、肝外胆管1例(1%)、その他1例(1%)だった。
1. 奏効割合(主要評価項目, RECIST ver.1.1, 中央判定)
  例数(%) 95%信頼区間
FGFR2遺伝子融合/再構成コホート (n=107) 38例(35.5%)* 26.5-45.4%
他のFGF/FGFR遺伝子異常を有するコホート(n=20) 0 -
FGF/FGFR遺伝子異常を有しないコホート(n=18) 0 -

❇:主要評価項目。

  • 完全奏効は、FGFR2遺伝子融合/再構成コホートで3例(2.8%)に認められた。
2. 全生存期間
  中央値 95%信頼区間
FGFR2遺伝子融合/再構成コホート (n=107) 21.1カ月 14.8カ月-推定不能
他のFGF/FGFR遺伝子異常を有するコホート(n=20) 6.7カ月 2.1-10.6カ月
FGF/FGFR遺伝子異常を有しないコホート(n=18) 4.0カ月 2.3-6.5カ月
3. 無増悪生存期間(RECIST ver.1.1, 中央判定)
  中央値 95%信頼区間
FGFR2遺伝子融合/再構成コホート (n=107) 6.9カ月 6.2-9.6カ月
他のFGF/FGFR遺伝子異常を有するコホート(n=20) 2.1カ月 1.2-4.9カ月
FGF/FGFR遺伝子異常を有しないコホート(n=18) 1.7カ月 1.3-1.8カ月
4. 奏効持続期間(RECIST ver.1.1, 中央判定)
  中央値 95%信頼区間
FGFR2遺伝子融合/再構成コホート (n=107) 7.5カ月 5.7-14.5カ月
他のFGF/FGFR遺伝子異常を有するコホート(n=20) - -
FGF/FGFR遺伝子異常を有しないコホート(n=18) - -
5. 有害事象(NCI CTCAE ver. 4.03, pemigatinibとの因果関係が否定されなかった事象)
有害事象* 全体集団 (N=146)
  全Grade Grade 3/4
高リン血症 81 (55%) 0
脱毛 67 (46%) 0
味覚異常 55 (38%) 0
下痢 49 (34%) 4 (3%)
疲労 45 (31%) 2 (1%)
口内炎 39 (27%) 8 (5%)
口内乾燥 42 (29%) 0
悪心 34 (23%) 2 (1%)
食欲不振 34 (23%) 1 (1%)
ドライアイ 30 (21%) 1 (1%)
皮膚乾燥 22 (15%) 1 (1%)
関節痛 16 (11%) 6 (4%)
手足症候群 16 (11%) 6 (4%)
便秘 20 (14%) 0
低リン血症 8 (5%) 10 (7%)
四肢痛 15 (10%) 0
低ナトリウム血症 4 (3%) 3 (2%)

❇︎:全Gradeで10%以上に認められた事象又はGrade 3以上で2%以上に認められた事象。

結語
FGFR2遺伝子融合/再構成を有する化学療法歴のある切除不能な胆道癌に対して、pemigatinibの有望な治療効果が認められた。なお、他のFGF/FGFR遺伝子異常を有するコホート及びFGF/FGFR遺伝子異常を有しないコホートにおいては、奏効は認められず、治療効果は不良だった。
執筆:神奈川県立がんセンター消化器内科肝胆膵 医長 手塚 瞬 先生
監修:国立がん研究センター東病院 肝胆膵内科 科長 池田 公史 先生

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