対象疾患 | 治療ライン | 研究の相 | 主要評価項目 | 実施地域 | 日本の参加 |
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HER2陰性転移再発乳がん | 一次治療 | 第3相試験 | 全生存期間 | 日本 | あり |
試験名 :SELECT BC
レジメン:S-1 vs タキサン
登録期間:2006年10月~2010年7月
背景
シェーマ
主な適格条件
- 20-75歳
- 切除不能HER2陰性かつホルモン治療耐性乳がん
- ECOG PS 0-1
- 転移・再発乳がんに対する化学療法未治療
主要評価項目:全生存期間
副次評価項目:治療成功期間、無増悪生存期間、安全性、HRQOL、医療経済効果
試験結果:
主要評価項目:
2006年10月-2010年7月までに618例が登録され、S-1群、タキサン群にそれぞれ309例ずつ割り付けられ、有効性解析は592例(S-1群306例、タキサン群286例)で解析された。観察期間中央値34.6ヶ月(IQR: 17.9-44.4)において、主要評価項目であるOS中央値は、S-1群35.0ヵ月、タキサン群37.2ヵ月で、S-1群のタキサン群に対する非劣性(非劣性マージンHR:1.333)が検証された(HR:1.05、95%CI:0.86-1.27, Pnon-inferiority=0.015)。
副次評価項目:
治療成功期間中央値は、S-1群8.0ヵ月、タキサン群8.9ヵ月であった(HR:1.10、95%CI:0.93-1.30)。
無増悪生存期間中央値は、S-1群9.6ヵ月、タキサン群11.0ヵ月であった(HR:1.18、95%CI:0.99-1.40)。
有害事象に関しては、疲労、脱毛、浮腫、感覚性神経障害、関節痛、筋肉痛、アレルギー反応、発熱、の有害事象はタキサン群で有意に多く、下痢、口内炎、悪心はS-1群に有意に多かった。発熱性好中球減少、嘔吐、食欲不振は両群間に差を認めなかった。2例(1%)の治療関連死がタキサン群で認められた。S-1群では治療関連死は認めなかった。
EORTC QLQ C-30で測定した全般的健康状態/QOLは、S-1群がタキサン群と比べて有意に良好であった(p=0.04)。また、身体機能(p<0.01)、役割機能(p<0.01)、心理機能(p<0.01)、認知機能(p=0.02)、社会機能(p<0.01)、疼痛(p=0.04)、経済的困難(p<0.01)においてもS-1群がタキサン群よりも良好な結果であった。EQ-5Dスコアにおいても、S-1群がタキサン群よりも良好な結果であったp=0.03)。
監修:博愛会相良病院 院長 相良 安昭 先生