大腸癌 20050181

Randomized phase III study of panitumumab with fluorouracil, leucovorin, and irinotecan (FOLFIRI) compared with FOLFIRI alone as second-line treatment in patients with metastatic colorectal cancer.

Peeters M, Price TJ, Cervantes A, et al. J Clin Oncol. 2010;28:4706-13. [PubMed]

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対象疾患 治療ライン 研究の相 主要評価項目 実施地域 日本の参加
大腸癌 二次治療 第3相 無増悪生存期間
全生存期間
国際 なし

試験名 :20050181試験

レジメン:FOLFIRI vs FOLFIRI+パニツムマブ

登録期間:2006年6月〜2008年3月

背景

KRAS遺伝子変異は、切除不能大腸癌の35-43%に認められる。いくつかの第2相/第3相試験結果をレトロスペクティブに解析したところ、KRAS変異型症例では抗EGFR抗体薬の効果が期待できないことが報告され、完全ヒト抗EGFR抗体薬であるパニツムマブの単剤療法は、欧米では「標準的化学療法に不応となったKRAS野生型切除不能大腸癌」に対する承認となった。
本試験(20050181試験)では、二次治療におけるパニツムマブのFOLFIRIへの上乗せ効果を検証した。当初は遺伝子変異解析は計画されていなかったが、上述した状況を受け、KRAS status別の解析を行うよう計画を変更した。

シェーマ

統計学的事項

主要評価項目:無増悪生存期間、全生存期間

主要評価項目はKRAS status別の無増悪生存期間(PFS)と全生存期間(OS)である。
本試験はKRAS野生型において、FOLFIRI群を対照としてFOLFIRI+パニツムマブのPFSのハザード比が0.67、OSのハザード比が0.724となることを検証する優越性試験として設計され、PFSの検出力90%、α=0.01、OSの検出力85%、α=0.04として、380イベントが必要とされた。

試験結果:

  • 2006年6月から2008年3月までに1186例が登録され、591例がFOLFIRI+パニツムマブ群に、595例がFOLFIRI群に割り付けられた。
  • そのうち1083例(91%)でKRAS statusが測定可能であり、597例(55%)が野生型、486例(45%)が変異型であった。
  • 治療群別、KRAS status別にみて、患者背景に大きな隔たりはなかった。
  • 観察期間中央値は下記のとおりであった。
     FOLFIRI+パニツムマブ群(KRAS野生型)13.3ヶ月
     FOLFIRI群       (KRAS野生型)10.2ヶ月
     FOLFIRI+パニツムマブ群(KRAS変異型)10.5ヶ月
     FOLFIRI群       (KRAS変異型) 9.5ヶ月
1. KRAS status別の無増悪生存期間(主要評価項目)
  KRAS野生型 KRAS変異型
  n PFS
中央値
95%
信頼区間
  n PFS
中央値
95%
信頼区間
 
FOLFIRI+パニツムマブ 303 5.9ヶ月 5.5-6.7 HR 0.73
(0.59-0.90)
P=0.004
238 5.0ヶ月 3.8-5.6 HR 0.85
(0.68-1.06)
P=0.14
FOLFIRI 294 3.9ヶ月 3.7-5.3 248 4.9ヶ月 3.6-5.6
2. KRAS status別の全生存期間(主要評価項目)
  KRAS野生型 KRAS変異型
  n OS
中央値
95%
信頼区間
  n OS
中央値
95%
信頼区間
 
FOLFIRI+パニツムマブ 303 14.5ヶ月 13.0-16.0 HR 0.85
(0.70-1.04)
P=0.12
238 11.8ヶ月 10.4-13.3 HR 0.94
(0.76-1.15)
FOLFIRI 294 12.5ヶ月 11.2-14.2 248 11.1ヶ月 10.3-12.4
3. 後治療
  • KRAS野生型症例において後治療に抗EGFR抗体薬を使用したのは、FOLFIRI+パニツムマブ群で10%、FOLFIRI群で31%であった。また治療期間中央値はそれぞれ11.8ヶ月と7.6ヶ月であった。
4. 奏効割合(中央判定)
  KRAS野生型 KRAS変異型
  n* 奏効割合 95%
信頼区間
  n* 奏効割合 95%
信頼区間
 
FOLFIRI+パニツムマブ 297 35%
(PR 35例)
30-41 P<0.0001 232 13%
(PR 13例)
9-18 P=1.0
FOLFIRI 285 10%
(PR 10例)
7-14 237 14%
(PR 14例)
10-19

* ベースライン時に中央判定で病変が測定可能であった患者のみ

5. Grade 3以上のおもな有害事象 (NCI-CTCAE v.3.0)
  KRAS野生型(n=596) KRAS変異型(n=483)
  FOLFIRI+パニツムマブ
(n=302)
FOLFIRI
(n=294)
FOLFIRI+パニツムマブ
(n=237)
FOLFIRI
(n=246)
全有害事象 219(73%) 152(52%) 151(64%) 123(50%)
好中球減少症 59 (20%) 68 (23%) 32 (14%) 43(17%)
皮膚毒性 111 (37%) 7 (2%) 75 (32%) 2 (1%)
下痢 41 (14%) 27 (9%) 32 (14%) 26 (11%)
粘膜炎 23 (8%) 8 (3%) 22 (9%) 9 (4%)
発熱性好中球減少症 6 (2%) 9 (3%) 3 (1%) 7 (3%)
インフュージョンリアクション 2 (<1%) - 0 -
結語
本試験は、切除不能大腸癌の二次治療における抗EGFR抗体薬の治療効果を、初めてKRAS status別に前向きに解析した大規模臨床試験である。KRAS野生型症例に対するFOLFIRI+パニツムマブ併用療法は認容性も高く、有意な無増悪生存期間の延長が認められた。
執筆:静岡県立静岡がんセンター 消化器内科 レジデント 井上 博登 先生
監修:静岡県立静岡がんセンター 治験管理室 部長、消化器内科 医長 山﨑 健太郎 先生

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