大腸癌 ASPECCT

Panitumumab versus cetuximab in patients with chemotherapy-refractory wild-type KRAS exon 2 metastatic colorectal cancer (ASPECCT): a randomised, multicentre, open-label, non-inferiority phase 3 study

Price TJ, Peeters M, Kim TW, et al. Lancet Oncol. 2014;15(6):569-79. [PubMed]

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対象疾患 治療ライン 研究の相 主要評価項目 実施地域 日本の参加
大腸癌 三次治療以降 第3相 全生存期間 国際 なし

試験名 :ASPECCT

レジメン:パニツムマブ vs セツキシマブ

登録期間:2010年2月〜2012年7月

背景

切除不能大腸癌において、イリノテカンやオキサリプラチンをベースとした化学療法により生存期間の中央値は2年を超える様になり、三次治療の対象となる患者は増加している。抗EGFR抗体薬であるセツキシマブとパニツムマブは、化学療法に抵抗性のKRAS野生型の切除不能大腸癌において有用性が示されている。セツキシマブは第3相試験であるCO.17試験において全生存期間の延長を示しているが、パニツムマブの全生存期間に対する有用性はまだ示されていない。また、化学療法に抵抗性の切除不能大腸癌におけるパニツムマブとセツキシマブの有効性と安全性を前向きに比較した報告はない。本ASPECCT試験はKRAS野生型の切除不能大腸癌におけるセツキシマブとパニツムマブの有効性と安全性を比較した第3相試験である。

シェーマ

統計学的事項

主要評価項目:全生存期間

セツキシマブとBSCを直接比較したCO.17試験で得られた知見(HR0.55)を対照として、パニツムマブ群のZ値が-1.96を下回り、維持率(retention rate)が50%以上である事を検証

試験結果:

  • 2010年2月から2012年7月の間に1010例が登録され、パニツムマブ群に506例が、セツキシマブ群に504例が割付られた。それぞれ不適格例を除外し、解析対象は以下の症例数とした。
       有効性解析対象:パニツムマブ群 499例、セツキシマブ群 500例
       安全性解析対象:パニツムマブ群 496例、セツキシマブ群 503例
  • 患者背景に大きな隔たりは無かった。
  • 26%の症例でベバシズマブの治療歴を有した。
  • 観察期間中央値は、パニツムマブ群 41.4週、セツキシマブ群 40.5週であった。
1. 全生存期間(主要評価項目)
  中央値 95%信頼区間 HR 0.97 (95%C.I. 0.84-1.11)
Z-score -3.19 P=0.0007  
維持率 105.7%      
パニツムマブ(n=499) 10.4ヶ月 9.4-11.6
セツキシマブ(n=500) 10.0ヶ月 9.3-11.0
2. 無増悪生存期間
  中央値 95%信頼区間 HR 1.00 (95%C.I. 0.88-1.14)
パニツムマブ(n=499) 4.1ヶ月 3.2-4.8
セツキシマブ(n=500) 4.4ヶ月 3.2-4.8
3. 奏効割合
  奏効割合 95%信頼区間 OR 1.15    
(95%C.I 0.83-1.58)
パニツムマブ(n=486) 22.0%(CR 2例、PR 105例) 18.4-26.0
セツキシマブ(n=485) 19.8%(PR 96例) 16.3-23.6
4. 奏効までの期間
  中央値 IQR
パニツムマブ(n=486) 1.5週 1.2-3.0
セツキシマブ(n=485) 2.6週 1.2-3.1
5. 奏効期間
  中央値 95%信頼区間
パニツムマブ(n=486) 3.8ヶ月 3.7-4.8
セツキシマブ(n=485) 5.4ヶ月 3.8-5.5
6. 治療成功期間
  中央値 95%信頼区間
パニツムマブ(n=486) 3.4ヶ月 3.2-4.6
セツキシマブ(n=485) 3.3ヶ月 3.2-3.9
7. 有害事象(NCI-CTCAE ver.3.0)
  パニツムマブ (n=496) セツキシマブ (n=503)
  Grade1,2 Grade 3 Grade 4 Grade1,2 Grade 3 Grade 4
皮膚障害 368 (74%) 60 (12%) 2 (<0.5%) 392 (78%) 48 (10%) 0
infusion reaction 14 (3%) 1 (<0.5%) 0 63 (13%) 5 (1%) 4 (<1%)
低マグネシウム血症 101 (20%) 26 (5%) 9 (2%) 76 (15%) 10 (2%) 3 (<1%)
結語
本試験の結果、KRAS野生型の切除不能大腸癌に対してパニツムマブのセツキシマブに対する全生存期間の非劣勢が示された。両薬剤ともに有害事象は予想されたものであった。両薬剤の有用性と安全性に差がないことから、抗EGFR抗体薬の選択にはinfusion reactionや投与スケジュールが薬剤選択の基準となると思われる。
執筆:静岡県立静岡がんセンター 消化器内科 レジデント 伏木 邦博 先生
監修:静岡県立静岡がんセンター 治験管理室 部長、消化器内科 医長 山﨑 健太郎 先生

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