大腸癌 BOND-1

Cetuximab Monotherapy and Cetuximab plus Irinotecan in Irinotecan-Refractory Metastatic Colorectal Cancer

Cunningham D, Humblet Y, Siena S, et al.N Engl J Med. 2004 Jul 22;351(4):337-45. [PubMed]

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対象疾患 治療ライン 研究の相 主要評価項目 実施地域 日本の参加
大腸癌 二次治療以降 第2相 奏効割合 国際 なし

試験名 :BOND-1

レジメン:セツキシマブ+イリノテカン vs セツキシマブ

登録期間:2001年7月〜2002年5月

背景

切除不能大腸癌の予後はイリノテカンおよびオキサリプラチンの開発により18ヶ月〜21ヶ月にまで延長した。上皮成長因子受容体(EGFR)は多くの大腸癌で発現していることが明らかになっており、EGFRの発現は予後不良とされている。EGFRシグナル伝達経路は、細胞増殖、血管新生、アポトーシスを制御している。
セツキシマブはEGFRを標的としたモノクローナル抗体であり、第2相試験において単剤およびイリノテカンとの併用療法の有効性が示されている。そこで、本試験では、EGFR陽性の切除不能大腸癌においてセツキシマブ+イリノテカン併用療法とセツキシマブ単独療法が比較された。

シェーマ

統計学的事項

主要評価項目:奏効割合

本試験はセツキシマブ単独群の推定奏効割合を5%とし、イリノテカンとの併用群の期待奏効割合を10%、両側α=0.05、検出力80%と設定し、300例の登録が必要とされた。

試験結果:

  • 2001年7月から2002年5月の間に329例が登録された。
  • 患者背景に大きな隔たりはなかった。
  • 62.6%の症例でオキサリプラチンによる治療歴を有した。
  • セツキシマブ単独群のうち56例で増悪後にクロスオーバーでのイリノテカンとの併用療法を施行された。
1. 奏効割合 (主要評価項目)
  奏効割合 95%信頼区間 p=0.007
セツキシマブ+イリノテカン (n=218) 22.9%(PR 50例) 17.5-29.1%
セツキシマブ(n=111) 10.8%(PR 12例) 5.7-18.1%
2. 奏効期間
  中央値
セツキシマブ+イリノテカン (n=218) 5.7ヶ月
セツキシマブ(n=111) 4.2ヶ月
3. 病勢制御割合
  病勢制御割合 95%信頼区間 P<0.001
セツキシマブ+イリノテカン (n=218) 55.5%(PR 50例、SD 71例) 48.6-62.2%
セツキシマブ(n=111) 32.4%(PR 12例、SD 24例) 23.9-42.0%
4. 無増悪期間
  中央値 HR 0.54 (95%C.I. 0.42-0.71)
P<0.001        
セツキシマブ+イリノテカン 4.1ヶ月
セツキシマブ 1.5ヶ月
5. 全生存期間
  中央値 HR 0.91 (95%C.I. 0.68-1.21)
P=0.48         
セツキシマブ+イリノテカン 8.6ヶ月
セツキシマブ 6.9ヶ月
6. セツキシマブ単独群で増悪後イリノテカンとの併用療法を行った症例での治療効果(n=56)
  • PR 2例(3.6%)、SD 20例(35.7%)
  • 無増悪期間 : 1.4ヶ月
7. 有害事象
  セツキシマブ+イリノテカン(n=212) セツキシマブ(n=115)
  Grade 3/4 Grade 3/4
好中球減少 20 (9.4%) 0
下痢 45 (21.2%) 2 (1.7%)
ざ瘡様皮疹 20 (9.4%) 6 (5.2%)
悪心・嘔吐 15 (7.1%) 5 (4.3%)
過敏反応 0 4 (3.5%)
8. サブグループ解析

オキサリプラチン治療歴を有する症例での奏効割合

  奏効割合 95%信頼区間 p=0.01
セツキシマブ+イリノテカン (n=135) 22.2% 15.5-30.2%
セツキシマブ (n=71) 8.5% 3.2-17.5%
結語
イリノテカン不応の切除不能大腸癌に対し、セツキシマブ単独療法およびセツキシマブ+イリノテカン併用療法はともに臨床的に有用であった。
執筆:静岡県立静岡がんセンター 消化器内科 レジデント 伏木 邦博 先生
監修:静岡県立静岡がんセンター 治験管理室 部長、消化器内科 医長 山﨑 健太郎 先生

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