大腸癌 CO.17

Cetuximab for the Treatment of Colorectal Cancer

Jonker DJ, O’Challaghan CJ, Karapetis CS, et al. N Engl J Med. 2007;357:2040-8. [PubMed]

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対象疾患 治療ライン 研究の相 主要評価項目 実施地域 日本の参加
大腸癌 三次治療以降 第3相 全生存期間 国際 なし

試験名 :CO.17

レジメン:セツキシマブ vs BSC

登録期間:2003年12月〜2005年8月

背景

細胞障害性薬剤のイリノテカン、オキサリプラチン、フルオロピリミジンや血管内皮増殖因子抗体であるベバシズマブにより切除不能大腸癌の生存は延長しているものの、多くの患者は治癒には至らない。
上皮成長因子受容体(EGFR)は多くの大腸癌で発現している。セツキシマブはEGFRを標的としたモノクローナル抗体でEGFRに結合する事で細胞増殖を抑制する。第2相試験においてセツキシマブの切除不能大腸癌における有効性が示されている。本試験は、切除不能大腸癌におけるセツキシマブの生存およびQOLに対する有用性を検証した第3相試験である。

シェーマ

統計学的事項

主要評価項目:全生存期間

本試験は、主要評価項目を全生存期間とした。BSC群を対照としてセツキシマブ群の1年生存率が9.6%増加(ハザード比=0.74)することを検証するよう設計され、両側α=0.05、検出力90%の設定で、445イベントが必要とされた。

試験結果:

  • 2003年12月から2005年8月の間に572例が登録され、287例がセツキシマブ群に、285例がBSC群に割り付けられた(ITT集団)。両群ともに治療を受けなかったなどの不適格例を数例認めたが、ITT集団を解析対象とした。
  • 患者背景に大きな隔たりは無かった。
  • 観察期間中央値は14.6ヶ月、セツキシマブ群の治療期間中央値は8.1週(範囲:1-60)であった。
  • 2回目以降のセツキシマブ投与における用量強度の中央値は、247mg/m2/週、75%の症例で相対用量強度は90%以上であった。
  • データカットオフの時点で283例中271例が増悪を認めていた。
1. 全生存期間(主要評価項目)
  中央値 HR 0.77 (95%C.I. 0.64-0.92)
p=0.005        
セツキシマブ(n=287) 6.1ヶ月
BSC(n=285) 4.6ヶ月
2. 無増悪生存期間
  中央値 HR 0.68 (95%C.I. 0.57-0.80)
P<0.001        
セツキシマブ(n=287) 1.9ヶ月
BSC(n=285) 1.8ヶ月
3. 奏効割合
  奏効割合 P<0.001
セツキシマブ(n=287) 8.0%(PR 23例)
BSC(n=285) 0%
4. 病勢制御割合
  病勢制御割合 P<0.001
セツキシマブ(n=287) 39.4%(PR 23例、SD 90例)
BSC(n=285) 10.9%(SD 31例)
5. 全生存期間 (セツキシマブ群の皮疹のGrade別)
  中央値 P<0.001
Grade 0(n=32) 2.6ヶ月
Grade 1(n=115) 4.8ヶ月
Grade 2以上(n=136) 8.4ヶ月
6. QOL
  • QOL質問票(EORTC、QOL-C30)を用い、5回(ベースライン時、4週、8週、16週、24週)のタイミングで患者のQOLを評価した。
  • 回答が得られた症例は、それぞれ下記の割合であった。
      ベースライン時:セツキシマブ群 94%、BSC群 94%
      8週時:セツキシマブ群 81%、BSC群 62%
      16週時:セツキシマブ群 67%、BSC群 43%

    [身体的機能におけるQOLスコアの変化(平均値)]
      ・8週時:セツキシマブ群 -3.9、BSC群 -8.6 (p<0.05)
      ・16週時:セツキシマブ群 -5.9、BSC群 -12.5 (p=0.03)

    [全般的健康におけるQOLスコアの変化(平均値)]
      ・8週時:セツキシマブ群 -0.5、BSC群 -7.1 (p=0.008)
      ・16週時:セツキシマブ群 -3.6、BSC群 -15.2 (p<0.001)
7. 有害事象(NCI-CTC ver.2.0)
  セツキシマブ (n=288) BSC (n=274)
  Grade 1 Grade 2 Grade 3 Grade 4 Grade 1 Grade 2 Grade 3 Grade 4
皮疹 114 (39.6%) 107 (37.2%) 34 (11.8%) 0 32 (11.7%) 11 (4.0%) 1 (0.4%) 0
Infusion reaction 30 (10.4%) 16 (5.6%) 8 (2.8%) 5 (1.7%) 0 0 0 0
低マグネシウム血症 95 (36.7%) 28 (10.8%) 7 (2.7%) 8 (3.1%) 29 (14.6%) 1 (0.5%) 0 0
  • セツキシマブ群の90%の症例に投与開始後29日以内に皮疹が発現していた。発現時期の中央値は投与開始後10日であった。
結語
他の治療レジメンに不応となった切除不能大腸癌患者においてセツキシマブは全生存期間、無増悪生存期間を延長し、QOLを保つことが示された。
執筆:静岡県立静岡がんセンター 消化器内科 レジデント 伏木 邦博 先生
監修:静岡県立静岡がんセンター 治験管理室 部長、消化器内科 医長 山﨑 健太郎 先生

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