対象疾患 | 治療ライン | 研究の相 | 主要評価項目 | 実施地域 | 日本の参加 |
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大腸癌 | 二次治療 | 第2/3相 | 無増悪生存期間 | 国内 | あり |
試験名 :FIRIS
レジメン:イリノテカン+S-1 vs FOLFIRI
登録期間:2006年1月〜2008年1月
背景
切除不能大腸癌の標準治療としてFOLFOX/FOLFIRIが使用されているが、持続点滴とCVポート造設が必要である。これらの必要性がなく利便性に優れるイリノテカン+S-1は複数の第2相試験において、7.8-8.6ヶ月の無増悪生存期間が報告されている。本試験(FIRIS)は、二次治療におけるイリノテカン+S-1(IRIS)がFOLFIRIに劣らない治療であることを証明するために実施された。
シェーマ
統計学的事項
主要評価項目:無増悪生存期間
本試験はFOLFIRI群を対照としてIRIS群の無増悪生存期間における非劣性を検証する試験であり、非劣性マージンはハザード比 1.33、両側α=0.05、検出力80%として設定され、379イベント、400例が必要とされた。試験結果:
- 2006年1月から2008年1月で国内40施設から426例が登録されたが、実際に治療を受けたのはIRIS群198例、FOLFIRI群203例であった。
- オキサリプラチンの前治療歴があったのはIRIS群128例(60.1%)、FOLFIRI群129例(60.6%)であった。
- 後治療を受けたのはIRIS群147例(69.0%)、FOLFIRI群159例(74.6%)であった。
1. 無増悪生存期間:ITT(主要評価項目)
中央値 | HR 1.077 (95%C.I. 0.879-1.319) p=0.039 |
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IRIS(n=213) | 5.8ヶ月 | |
FOLFIRI(n=213) | 5.1ヶ月 |
2. 全生存期間:ITT
中央値 | HR 0.909 (95%C.I. 0.699-1.181) | |
IRIS(n=213) | 19.5ヶ月 | |
FOLFIRI(n=213) | 18.2ヶ月 |
3. 奏効割合
奏効割合 | |
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IRIS(n=181) | 18.8%(CR 1例、PR 33例) |
FOLFIRI(n=174) | 16.7%(CR 1例、PR 28例) |
4. 有害事象(CTCAE ver.3.0)
FOLFIRI (n=211) | IRIS (n=210) | |||||
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全Grade | Grade 3 | Grade 4 | 全Grade | Grade 3 | Grade 4 | |
好中球数減少 | 179 (84.8%) | 76 (36.0%) | 34 (16.1%) | 139 (66.2%) | 54 (25.7%) | 22 (10.5%) |
白血球数減少 | 170 (80.6%) | 32 (15.2%) | 1 (0.5%) | 154 (73.3%) | 32 (15.2%) | 6 (2.9%) |
貧血 | 115 (54.5%) | 13 (6.2%) | 1 (0.5%) | 156 (74.3%) | 19 (9.0%) | 2 (1.0%) |
血小板数減少 | 63 (29.9%) | 1 (0.5%) | 1 (0.5%) | 74 (35.2%) | 0 | 0 |
発熱性好中球 減少症 | 3 (1.4%) | 2 (0.9%) | 0 | 10 (4.8%) | 10 (4.8%) | 0 |
下痢 | 125 (59.2%) | 10 (4.7%) | 0 | 167 (79.5%) | 43 (20.5%) | 0 |
粘膜炎/口内炎 | 92 (43.6%) | 1 (0.5%) | 0 | 102 (48.6%) | 6 (2.9%) | 0 |
食欲不振 | 129 (61.1%) | 11 (5.2%) | 0 | 141 (67.1%) | 23 (11%) | 0 |
悪心 | 111 (52.6%) | 9 (4.3%) | 0 | 99 (47.1%) | 4 (1.9%) | 0 |
5. サブグループ解析:オキサリプラチンによる前治療歴別の無増悪生存期間
OX前治療歴あり | OX前治療歴なし | |||||
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n | PFS中央値 | HR(95%CI) | n | PFS中央値 | HR(95%CI) | |
IRIS | 129 | 5.7ヶ月 | 0.876 (0.677-1.133) | 129 | 6.0ヶ月 | 1.490 (1.079-2.059) |
FOLFIRI | 128 | 3.9ヶ月 | 128 | 7.8ヶ月 |
結語
切除不能大腸癌の二次治療において、イリノテカン+S-1はFOLFIRIに対して無増悪生存期間における非劣性が証明されたため、同対象に対する治療オプションの1つとなり得る。
執筆:静岡県立静岡がんセンター 消化器内科 レジデント 井上 博登 先生
監修:静岡県立静岡がんセンター 治験管理室 部長、消化器内科 医長 山﨑 健太郎 先生
監修:静岡県立静岡がんセンター 治験管理室 部長、消化器内科 医長 山﨑 健太郎 先生