大腸癌 FIRIS

Irinotecan plus S-1 (IRIS) versus fluorouracil and folinic acid plus irinotecan (FOLFIRI) as second-line chemotherapy for metastatic colorectal cancer: a randomised phase 2/3 non-inferiority study (FIRIS study).

Muro K, Boku N, Shimada Y, et al. Lancet Oncol. 2010 Sep;11(9):853-60. [PubMed]

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対象疾患 治療ライン 研究の相 主要評価項目 実施地域 日本の参加
大腸癌 二次治療 第2/3相 無増悪生存期間 国内 あり

試験名 :FIRIS

レジメン:イリノテカン+S-1 vs FOLFIRI

登録期間:2006年1月〜2008年1月

背景

切除不能大腸癌の標準治療としてFOLFOX/FOLFIRIが使用されているが、持続点滴とCVポート造設が必要である。これらの必要性がなく利便性に優れるイリノテカン+S-1は複数の第2相試験において、7.8-8.6ヶ月の無増悪生存期間が報告されている。本試験(FIRIS)は、二次治療におけるイリノテカン+S-1(IRIS)がFOLFIRIに劣らない治療であることを証明するために実施された。

シェーマ

統計学的事項

主要評価項目:無増悪生存期間

本試験はFOLFIRI群を対照としてIRIS群の無増悪生存期間における非劣性を検証する試験であり、非劣性マージンはハザード比 1.33、両側α=0.05、検出力80%として設定され、379イベント、400例が必要とされた。

試験結果:

  • 2006年1月から2008年1月で国内40施設から426例が登録されたが、実際に治療を受けたのはIRIS群198例、FOLFIRI群203例であった。
  • オキサリプラチンの前治療歴があったのはIRIS群128例(60.1%)、FOLFIRI群129例(60.6%)であった。
  • 後治療を受けたのはIRIS群147例(69.0%)、FOLFIRI群159例(74.6%)であった。
1. 無増悪生存期間:ITT(主要評価項目)
  中央値 HR 1.077 (95%C.I. 0.879-1.319)
p=0.039          
IRIS(n=213) 5.8ヶ月
FOLFIRI(n=213) 5.1ヶ月
2. 全生存期間:ITT
  中央値 HR 0.909 (95%C.I. 0.699-1.181)
IRIS(n=213) 19.5ヶ月
FOLFIRI(n=213) 18.2ヶ月
3. 奏効割合
  奏効割合
IRIS(n=181) 18.8%(CR 1例、PR 33例)
FOLFIRI(n=174) 16.7%(CR 1例、PR 28例)
4. 有害事象(CTCAE ver.3.0)
  FOLFIRI (n=211) IRIS (n=210)
  全Grade Grade 3 Grade 4 全Grade Grade 3 Grade 4
好中球数減少 179 (84.8%) 76 (36.0%) 34 (16.1%) 139 (66.2%) 54 (25.7%) 22 (10.5%)
白血球数減少 170 (80.6%) 32 (15.2%) 1 (0.5%) 154 (73.3%) 32 (15.2%) 6 (2.9%)
貧血 115 (54.5%) 13 (6.2%) 1 (0.5%) 156 (74.3%) 19 (9.0%) 2 (1.0%)
血小板数減少 63 (29.9%) 1 (0.5%) 1 (0.5%) 74 (35.2%) 0 0
発熱性好中球 減少症 3 (1.4%) 2 (0.9%) 0 10 (4.8%) 10 (4.8%) 0
下痢 125 (59.2%) 10 (4.7%) 0 167 (79.5%) 43 (20.5%) 0
粘膜炎/口内炎 92 (43.6%) 1 (0.5%) 0 102 (48.6%) 6 (2.9%) 0
食欲不振 129 (61.1%) 11 (5.2%) 0 141 (67.1%) 23 (11%) 0
悪心 111 (52.6%) 9 (4.3%) 0 99 (47.1%) 4 (1.9%) 0
5. サブグループ解析:オキサリプラチンによる前治療歴別の無増悪生存期間
  OX前治療歴あり OX前治療歴なし
  n PFS中央値 HR(95%CI) n PFS中央値 HR(95%CI)
IRIS 129 5.7ヶ月 0.876 (0.677-1.133) 129 6.0ヶ月 1.490 (1.079-2.059)
FOLFIRI 128 3.9ヶ月 128 7.8ヶ月
結語
切除不能大腸癌の二次治療において、イリノテカン+S-1はFOLFIRIに対して無増悪生存期間における非劣性が証明されたため、同対象に対する治療オプションの1つとなり得る。
執筆:静岡県立静岡がんセンター 消化器内科 レジデント 井上 博登 先生
監修:静岡県立静岡がんセンター 治験管理室 部長、消化器内科 医長 山﨑 健太郎 先生

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