対象疾患 | 治療ライン | 研究の相 | 主要評価項目 | 実施地域 | 日本の参加 |
---|---|---|---|---|---|
大腸癌 | 一/二次治療 | 第2相 | 奏効割合 | 海外 (イタリア) |
なし |
試験名 :なし
レジメン:パニツムマブ
登録期間:2010年9月〜2015年2月
背景
切除不能大腸癌の臨床試験において高齢者は対象から除外されており、試験結果を一律に外挿することが出来ない。抗EGFR抗体薬のセツキシマブは、少数例の前向き試験などで高齢者に対する単独療法の報告があるが、パニツムマブまでは少ない。そこで、RAS/BRAF野生型の高齢者を対象として、パニツムマブ単独療法の有効性・安全性を示すために本試験が実施された。
シェーマ
統計学的事項
主要評価項目:奏効割合
本試験の主要評価項目はRECICT 1.1による奏効割合とした。グループA(一次治療)での奏効割合の閾値を5%、期待値を45%とし、グループB(二次治療)での閾値を5%、期待値を25%、両群ともに両側α=0.05、検出力90%として設計したところ、それぞれ10例、25例が必要とされた。試験結果:
- 2010年9月から2015年2月の間に、イタリアの7施設から40例が登録された(グループA 10例、グループB 30例)。
- 年齢中央値は81歳(76-90歳)、年齢調整Charlson Index中央値は11(9-15)であった。
- PS 0が1例(2%)、1が32例(80%)、2が7例(18%)であった。
1. 奏効割合 (主要評価項目)
全体(n=40) | グループA:一次治療(n=10) | グループB:二次治療(n=30) | |
---|---|---|---|
パニツムマブ単独 | 32.5% | 40% | 30% |
2. 病勢制御割合
全体(n=40) | グループA:一次治療(n=10) | グループB:二次治療(n=30) | |
---|---|---|---|
パニツムマブ単独 | 72.5% | 70% | 86% |
3. 無増悪生存期間
中央値(95%信頼区間) | 全体(n=40) | グループA:一次治療(n=10) | グループB:二次治療(n=30) |
---|---|---|---|
パニツムマブ単独 | 6.4ヶ月(4.9-8) | 7ヶ月(3.2-10.8) | 6.2ヶ月(4.6-7.9) |
4. 全生存期間
中央値(95%信頼区間) | 全体(n=40) | グループA:一次治療(n=10) | グループB:二次治療(n=30) |
---|---|---|---|
パニツムマブ単独 | 14.3ヶ月(10.9-17.7) | 12.3ヶ月(9.3-15.3) | 14.7ヶ月(10.5-18.9) |
5. 有害事象(NCI-CTCAE ver.4.0)
Grade 1-2 | Grade 3 | |
---|---|---|
皮疹 | 14 (35%) | 8 (20%) |
粘膜炎 | 5 (13%) | 0 |
下痢 | 6 (15%) | 0 |
Grade 4/5の発現はなかった。
結語
パニツムマブ単独療法は、強力な化学療法の適応とならない“frail(脆弱)”な高齢RAS/BRAF野生型切除不能大腸癌に対して有効な治療法となり得る。
執筆:静岡県立静岡がんセンター 消化器内科 レジデント 井上 博登 先生
監修:静岡県立静岡がんセンター 治験管理室 部長、消化器内科 医長 山﨑 健太郎 先生
監修:静岡県立静岡がんセンター 治験管理室 部長、消化器内科 医長 山﨑 健太郎 先生