大腸癌 J-BLUE

Uracil-Tegafur and Oral Leucovorin Combined With Bevacizumab in Elderly Patients (Aged ≥75 Years) With Metastatic Colorectal Cancer: A Multicenter, Phase II Trial (Joint Study of Bevacizumab, Oral Leucovorin, and Uracil-Tegafur in Elderly Patients [J-BLUE] Study)

Nishina T, Moriwaki T, Shimada M, et al. Clin Colorectal Cancer. 2016;15(3):236-42. [PubMed]

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対象疾患 治療ライン 研究の相 主要評価項目 実施地域 日本の参加
大腸癌 一次治療 第2相 無増悪生存期間 国内 あり

試験名 :J-BLUE

レジメン:UFT/LV+Bev

登録期間:2008年8月〜2012年3月

背景

切除不能大腸癌に対してはオキサリプラチンやイリノテカンをベースとしたdoubletレジメンを用いた第3相試験が行われているが、高齢者の割合は増え続けているにもかかわらず、これらの試験に含まれる高齢者は実臨床よりも少ない。Doubletレジメンは毒性からQOLを損ねる可能性があるため、高齢者に対しては慎重に投与する必要があり、またどの患者でQOLを損ねることになるのか予想するのが難しい。このため毒性が軽微である治療レジメンの開発が、特に75歳以上の高齢者に対しては必要と考えられる。
75歳以下の患者に対して、UFT/LVは5-FU/LVと同等の治療効果を持つことが、欧米で行われた2つの第3相試験により報告されている。欧米で行われた75歳以上に対するUFT/LVの第2相試験では、消化器毒性の発生頻度が若年よりもやや高いことが報告されたが、国内で行われた第2相試験では毒性の発生頻度は若年と同程度であった。
ベバシズマブ(Bev)は5-FU/LVとの併用により無増悪生存期間(PFS)やOS(全生存期間)を延長することが2つの第2相試験より報告されている。今回UFT/LVとBevとの併用療法の有効性や安全性を評価するために第2相試験を行った。

シェーマ

統計学的事項

主要評価項目:無増悪生存期間

本試験の主要評価項目はPFSとした。PFSの期待値を9.0ヶ月、閾値を4.0ヶ月とした。片側α=5.0%、検出力90%と設定し、同意撤回や不適格症例が含まれることを見込み必要症例数は55例とした。

試験結果:

  • 2008年8月〜2012年3月の期間に15施設から55例が登録された。3例は不適格であり、52例が適格であり評価可能であった。
  • 年齢中央値が80歳(range, 75-87歳)、PS 0が73%、多発臓器転移が54%、原発巣切除歴ありが81%であった。
  • フォローアップ期間中央値は17ヶ月であった。
1. 無増悪生存期間(主要評価項目)
  中央値 95% CI
UFT/LV+Bev 8.2ヶ月 6.2-10
2. 全生存期間
  中央値 95% CI
UFT/LV+Bev 23ヶ月 13-33
3. 奏効割合
  奏効割合 95% CI
UFT/LV+Bev 40% 27-55
4. 病勢制御割合
  病勢制御割合 95% CI
UFT/LV+Bev 83% 70-92
5. 有害事象
  全症例 年齢75-79歳 vs. 80歳以上
(n=28 vs. 24)
  All grade Grade 3 or 4 Grade 3 or4
白血球減少 13 (25%) 0 0 vs. 0
好中球減少 11 (21%) 1 (2%) 0 vs. 1
貧血 31 (60%) 4 (8%) 2 vs. 2
血小板減少症 12 (25%) 1 (2%) 1 vs. 0
高ビリルビン血症 12 (23%) 0 0 vs. 0
食欲不振 3 (6%) 0 0 vs. 0
口内炎 16 (31%) 2 (4%) 1 vs. 1
嘔気 18 (35%) 3 (6%) 1 vs. 2
嘔吐 8 (15%) 1 (2%) 1 vs. 0
下痢 14 (27%) 3 (6%) 1 vs. 2
疲労 20 (39%) 4 (8%) 1 vs. 3
発熱性好中球減少 0 0 0 vs. 0
高血圧 17 (33%) 6 (12%) 4 vs. 2
出血 16 (31%) 1 (2%) 1 vs. 0
尿蛋白 15 (29%) 0 0 vs. 0
消化管穿孔 0 0 0 vs. 0
血栓症 1 (2%) 0 0 vs. 0
6. サブグループ解析
  • 80歳未満(n=28)と80歳以上(n=24)との比較では、PFSはそれぞれ8.0ヶ月、9.8ヶ月であり有意差は認められなかった。また奏効割合やOSでも有意な差は認められなかった。
結語
切除不能大腸癌に対する一次治療において、UFT/LV+Bevは75歳以上の高齢者に対しても認容性の保たれた有効な治療レジメンと考えられた。
執筆:静岡県立静岡がんセンター 消化器内科 レジデント 古田 光寛 先生
監修:静岡県立静岡がんセンター 治験管理室 部長、消化器内科 医長 山﨑 健太郎 先生

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