大腸癌 NO16966(BEV vs Placebo)

Bevacizumab in combination with oxaliplatin-based chemotherapy as first-line therapy in metastatic colorectal cancer: a randomized phase III study

Saltz LB, Clarke S, Díaz-Rubio E, et al. J Clin Oncol. 2008; 26: 2013-9. [PubMed]

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対象疾患 治療ライン 研究の相 主要評価項目 実施地域 日本の参加
大腸癌 一次治療 第3相 無増悪生存期間 国際 なし

試験名 :NO16966

レジメン:BEV(+FOLFOX4 or CAPOX)vs Placebo(+FOLFOX4 or CAPOX)、2×2ファクトリアルデザイン

登録期間:2004年2月〜2005年2月

背景

ベバシズマブ(BEV)は血管内皮細胞増殖因子-A(VEGF-A)に結合し作用を抑制するヒト化モノクローナル抗体である。切除不能進行再発大腸癌に対する初回治療において、IFL(イリノテカン+急速静注5-FU/LV)へのBEV併用の全生存期間、無増悪生存期間、奏効割合における上乗せ効果が第3相試験(AVF2107g)で示された。また、二次治療におけるFOLFOX4(急速静注/持続静注5-FU/LV+オキサリプラチン)に対してもBEVの上乗せ効果が示された。当初、本試験はFOLFOX4に対するCAPOX(カペシタビン+オキサリプラチン)の非劣勢を検証するための第3相試験(NO16966A)として開始されたが、2003年6月にAVF2107g試験の結果が公表されたことから、FOLFOX vs CAPOXとBEV vs Placeboの2x2ファクトリアルデザインに変更し(NO16966) 、一次治療におけるFOLFOXに対するCAPOXの無増悪生存期間における非劣性に加え、FOLFOXまたはCAPOXに対するBEV併用療法の有用性を検証することとなった。

シェーマ

統計学的事項

主要評価項目:無増悪生存期間

FOLFOX4群を対照としてCAPOX群が非劣勢を検証(非劣勢マージン HR 1.23、両側α=0.025 、検出力=90%)。最終解析は1200イベントに達した時点で実施。
同時に、Placebo群を対照としてBEV群の優越性を検証(ハザード比 0.75、片側α=0.025 、検出力=98%、必要イベント数 985)。
最初にFOLFOX4群とCAPOX群の解析を実施し非劣勢が検証された場合、各治療群間(FOLFOX、 CAPOX 、BEV、Placebo)における交互作用を評価。臨床的に関連する、または統計学的に有意な交互作用を認めなかった場合、Placebo群とBEV群の解析は主要な解析とした。

試験結果:

  • 2004年2月〜2005年2月の間に1401例が2x2ファクトリアルデザインパートに登録された。
  • Placeboに対するBEVの優越性を検証するITT解析対象は1400例(1例は誤って2回割り付けられた)。
  • 患者背景は両群で隔たりはなかった。
  • 無増悪生存期間におけるデータカットオフは2006年1月31日、観察期間中央値は15.6ヶ月。
  • 全生存期間におけるデータカットオフは2007年1月31日、観察期間中央値は27.6ヶ月。
  • 各治療群間で、臨床的に関連する、または統計学的に有意な交互作用を認めなかった。
1. 無増悪生存期間 (主要評価項目)
  中央値 HR 0.83 (97.5%C.I. 0.72-0.95)
P = 0.0023        
BEV群 9.4ヶ月
Placebo群 8.0ヶ月
2. 全生存期間
  中央値 HR 0.89 (97.5%C.I. 0.76-1.03)
P = 0.0769        
BEV群 21.3ヶ月
Placebo群 19.9ヶ月
3. 奏効割合
  奏効割合 HR 0.90 (97.5%C.I. 0.71-1.14)
P = 0.31          
BEV群 47%
Placebo群 49%
4. 治療成功期間(治療中または治療終了後、増悪なく生存)
  中央値 HR 0.84 (97.5%C.I. 0.74-0.96)
P = 0.0030         
BEV群 6.9ヶ月
Placebo群 6.0ヶ月
5. 奏効期間(奏効例のうち、増悪なく生存)
  中央値 HR 0.82 (97.5%C.I. 0.66-1.01)
P = 0.0307         
BEV群 8.45ヶ月
Placebo群 7.4ヶ月
6. サブグループ毎のBEV併用による無増悪生存期間における効果
  HR 97.5%信頼区間 P
CAPOX 0.77 0.63-0.94 0.0026
FOLFOX4 0.89 0.73-1.08 0.1871
7. 転移巣切除割合
  割合
BEV群 59例(8.4%)
Placebo群 43例(6.1%)
8. 二次治療移行割合
  割合
BEV群 46%
Placebo群 53%
9. 治療期間
  中央値
BEV群 190日
Placebo群 176日
10. 治療中止理由
  BEV群(n=701) Placebo群(n=699)
安全性
  有害事象
  死亡
226
210
16
(32%)
(30%)
(2%)
150
143
7
(21%)
(20%)
(1%)
安全性以外
  増悪
  エントリー時の適格基準違反
  他のプロトコール逸脱
  治療拒否
  追跡不可
  他
366
203
6
1
64
2
90
(52%)
(29%)
(<1%)
(<1%)
(9%)
(<1%)
(13%)
472
329
7
2
58
0
76
(67%)
(47%)
(1%)
(<1%)
(8%)
(0%)
(11%)
11. 有害事象
  BEV群(n=694) Placebo群(n=675)
治療中止になった有害事象    
  全グレード 207 (30%) 141 (21%)
  Grade 3/4 145 (21%) 101 (15%)
  BEV関連 36 (5%) 16 (2%)
Grade 3/4    
  全事象 555 (80%) 505 (75%)
  BEV関連 111 (16%) 57 (8%)
     深部静脈血栓症 54 (8%) 33 (5%)
     高血圧 26 (4%) 8 (1%)
     出血 13 (2%) 8 (1%)
     動脈血栓症 12 (2%) 7 (1%)
     消化管穿孔 4 (<1%) 2 (<1%)
     創傷治癒の障害 1 (<1%) 2 (<1%)
     膿瘍形成 6 (1%) -
     蛋白尿 4 (<1%) -
  BEV群 Placebo群
出血イベント 24% 28%
消化管イベント 32% 27%
心血管イベント 4% <1%
手足症候群 7% 3%
12. 抗凝固療法
  人数(割合)
BEV群 144 (21%)
Placebo群 104 (15%)
13. 治療関連死亡
  28日以内 60日以内
BEV群 14 (2.0%) 14 (2.0%)
Placebo群 10 (1.5%) 11 (1.6%)
結語
切除不能進行再発大腸癌に対する初回治療において、オキサリプラチンベースの治療へのBEV併用の無増悪生存期間における上乗せ効果が示された。全生存期間、奏効割合におけるBEV併用の有用性は示されなかった。BEVの有用性を最適化するためには増悪まで治療を継続することが必要かもしれない。
執筆:静岡県立静岡がんセンター 消化器内科 レジデント 瀧浪 将貴 先生
監修:静岡県立静岡がんセンター 治験管理室 部長、消化器内科 医長 山﨑 健太郎 先生

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