大腸癌 OPUS

Fluorouracil, Leucovorin, and Oxaliplatin With and Without Cetuximab in the First-Line Treatment of Metastatic Colorectal Cancer

Bokemeyer C, Bondarenko I, Makhson A, et al. J Clin Oncol. 2009;27(5):663-71. [PubMed]

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対象疾患 治療ライン 研究の相 主要評価項目 実施地域 日本の参加
大腸癌 一次治療 第2相 奏効割合 国際 なし

試験名 :OPUS

レジメン:FOLFOX4+Cet vs FOLFOX4

登録期間:2005年7月〜2006年3月

背景

上皮成長因子受容体 (EGFR) はほとんどの大腸癌に発現している。セツキシマブ(Cet)は EGFRをターゲットとしたIgG1サブクラスのモノクローナル抗体であり、第2相試験、第3相試験においてオキサリプラチン(OX)やイリノテカン(IRI)不応となった大腸癌に対して単剤もしくはIRIとの併用療法で有効性が証明されている。さらにCRYSTAL試験では一次治療においてFOLFIRIとの併用でFOLFIRI単独に対する無増悪生存期間(PFS)、奏効割合、R0切除割合の改善が認められた。FOLFOX4とCetとの併用療法は第2相試験で有効性と認容性が報告されているが、その有効性をより明確にするためにFOLFOX4+CetのFOLFOX4単独に対する第2相無作為化試験である本試験が行われた。

また、IgG2サブクラスのモノクローナル抗体であるパニツムマブ(Pan)の第3相試験において、KRAS遺伝子のコドン12、13に変異を有する場合はPanが無効であることが報告されている。またCetでの検討においても複数の後ろ向き検討や無作為化第3相試験(CRSTAL試験、CO.17試験)のサブグループ解析より同様の結果が報告されている。そのため本試験でもKRAS遺伝子変異別のサブグループ解析が行われた。

シェーマ

統計学的事項

主要評価項目:奏効割合

本試験の主要評価項目は奏効割合(RR)とした。Cetの上乗せによりRRが20%向上すると設定し、検出力を90%、両側α=0.05と設定すると、各群146例の症例登録が必要とされた。ITT解析はランダムに割り付けられた試験治療を少なくとも1回は行った症例を対象とすることと定義した。

試験結果:

  • 2005年7月〜2006年3月の期間に344例が登録され、FOLFOX4+Cet群とFOLFOX4群に無作為化割付された。ITT解析の対象は337例であった(ITT解析対象:FOLFOX4+Cet群 169例、FOLFOX4群 168例)。
  • KRAS遺伝子検査は233例(FOLFOX4+Cet群 113例、 FOLFOX4群 120例)で測定可能であり、KRAS遺伝子変異はFOLFOX4+Cet群 52例、FOLFOX4群 47例に認められた。
  • 両群の患者背景に偏りはなかった。
1. 奏効割合(主要評価項目)
  奏効割合 ITT( n=337) 95% CI Odds Ratio 1.516  
(95%C.I. 0.975-2.355)
p=0.064      
FOLFOX4+Cet(n=169) 46% 38-53
FOLFOX4(n=168) 36% 29-44
  奏効割合 KRAS野生型(n=134) 95% CI Odds Ratio 2.544  
(95%C.I. 1.238-5.227)
p=0.011      
FOLFOX4+Cet(n=61) 61% 47-73
FOLFOX4(n=73) 37% 26-49
  奏効割合 KRAS変異型(n=99) 95% CI Odds Ratio 0.507  
(95%C.I. 0.223-1.150)
p=0.106      
FOLFOX4+Cet(n=52) 33% 20-47
FOLFOX4(n=47) 49% 34-64
2. 無増悪生存期間
  中央値 ITT(n=337) 95% CI HR 0.931      
(95%C.I. 0.705-1.230)
p=0.6170      
FOLFOX4+Cet(n=169) 7.2ヶ月 5.6-7.7
FOLFOX4(n=168) 7.2ヶ月 6.0-7.8
  中央値 KRAS野生型(n=134) 95% CI HR 0.570      
(95%C.I. 0.358-0.907)
p=0.0163      
FOLFOX4+Cet(n=61) 7.7ヶ月 7.1-12.0
FOLFOX4(n=73) 7.2ヶ月 5.6-7.4
  中央値 KRAS変異型(n=99) 95% CI HR 1.830      
(95%C.I. 1.095-3.056)
p=0.0192      
FOLFOX4+Cet(n=52) 5.5ヶ月 4.0-7.4
FOLFOX4(n=47) 8.6ヶ月 6.5-9.5
3. R0切除割合
  R0切除割合 ITT(n=337)
FOLFOX4+Cet(n=169) 4.7%
FOLFOX4(n=168) 2.4%
  R0切除割合 KRAS野生型(n=134)
FOLFOX4+Cet(n=61) 9.8%
FOLFOX4(n=73) 4.1%
  R0切除割合 KRAS変異型(n=99)
FOLFOX4+Cet(n=52) 1.9%
FOLFOX4(n=47) 2.1%
4. 各薬剤においてRelative Dose Intensityが≧80%であった患者の割合
  Cet* 5-FU OX
FOLFOX4+Cet 84% 67% 75%
FOLFOX4 - 70% 80%

*Cetの投与期間中央値:24週

5. 有害事象(NIC-CTCAE ver.2.0)
  FOLFOX4+Cet(n=170) FOLFOX4(n=168)
  Grade 3 or 4 Grade 3 or 4
全Grade 3/4有害事象 129 (76%) 117 (70%)
 好中球減少 51 (30%) 57 (34%)
 皮疹 19 (11%) 1 (0.6%)
 下痢 14 (8%) 12 (7%)
 白血球数減少 12 (7%) 10 (6%)
 血小板減少 7 (4%) 4 (2%)
 疲労 7 (4%) 5 (3%)
 手足症候群 7 (4%) 1 (0.6%)
 感覚性末梢神経障害 7 (4%) 12 (7%)
 貧血 6 (4%) 4 (2%)
 皮膚反応 30 (18%) 1 (0.6%)
 infusion reaction 8 (5%) 3 (2%)
結語
切除不能大腸癌に対する一次治療において、FOLFOX4+CetはFOLFOX4に対しKRAS野生型症例における奏効割合を向上させ、無増悪生存期間を延長した。KRASステータスはCetの強力な効果予測因子であった。
執筆:静岡県立静岡がんセンター 消化器内科 レジデント 古田 光寛 先生
監修:静岡県立静岡がんセンター 治験管理室 部長、消化器内科 医長 山﨑 健太郎 先生

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