食道癌 (Docetaxel)

A phase II study of single-agent docetaxel in patients with metastatic esophageal cancer.

Muro K, Hamaguchi T, Ohtsu A, et al. Ann Oncol;15:955-9, 2004 [PubMed]

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対象疾患 治療ライン 研究の相 主要評価項目 実施地域 日本の参加
食道癌 一次/二次治療 第2相 奏効割合 国内 あり

試験名 : なし

レジメン:ドセタキセル

登録期間: 2000年5月〜2002年2月

背景

切除不能進行食道癌(腺癌および扁平上皮癌)に対する一次治療は5-FU+シスプラチン療法が標準治療であり、奏効割合は25-35%と報告されている。しかし、完全寛解(CR)はまれで、奏効期間中央値も一般的に短く、生存期間中央値はわずか6-10ヶ月と報告されている。また、シスプラチン併用療法は毒性も強いことが知られている。そのため他の併用療法の開発が検討されてきたが、5-FU+シスプラチン療法と比較し成績を改善したものはなかった。
ドセタキセルは種々の癌腫で抗腫瘍効果が示されており、食道癌においても単剤で有用性を示唆する臨床試験が報告されていたが、患者数が少ない試験であった。そのため、遠隔転移を有する日本人の食道癌症例を対象に、ドセタキセル単剤療法の有効性と安全性を探索する第2相試験を行った。

シェーマ

統計学的事項

主要評価項目:奏効割合

期待奏効割合を15%、閾値奏効割合を5%、片側α:0.05、検出力を80%として必要症例数を44例と計算した。最初の20-24例でPR以上の症例がなければ試験中止、20-24例のうち奏効が確定した症例があれば、44例まで登録することが規定された。

試験結果:

  • 2000年5月〜2002年2月の間に日本国内14施設より52例が登録された。3名は試験登録後の状態悪化によりドセタキセルの投与が行われず、解析から除外されたため、有効性と安全性の評価は49例で解析された
1. 患者背景
    n(%)
年齢 (歳)   64
46-73
性別 男性
女性
46 (94)
3 (6)
ECOG PS 0
1
28 (57)
21 (43)
組織診断 扁平上皮癌
腺癌
その他
46 (94)
1 (2)
2 (4)
前治療歴 食道切除術
化学療法
転移性病変に対する化学療法
術後補助化学療法
放射線照射
化学放射線療法
なし
25 (51)
38 (78)
32 (65)
6 (12)
23 (47)
15 (31)
5 (10)
前化学療法レジメン 5-FU+シスプラチン
5-FU+ネダプラチン
その他
なし
25 (51)
11 (22)
2 (4)
11 (22)
標的とした転移部位 リンパ節


その他
30 (61)
16 (33)
11 (22)
6 (12)
2. 奏効割合(主要評価項目)
  N CR PR SD PD NE 奏効割合
RECIST 49 0 10 19 19 1 20%
(95%信頼区間 10-34)
WHO 49 0 12 15 21 1 24%
(95%信頼区間 13-39)
  • RECIST規準でPRとなった10例中、6例(60%)はプラチナベースの化学療法歴を有していた。
  • 化学療法歴を有する症例(n=38)におけるRECIST規準に基づく奏効割合は16%(6例奏効)、化学療法歴を有さない症例(n=11)は36%(4例奏効)だった。
  • 標的とした転移部位における奏効割合は肺(n=16)で25%(4例奏効)、肝(n=11)で18%(2例奏効)、リンパ節(n=30)で20%(6例奏効)だった。
3. 全生存期間
N 中央値 95%信頼区間 1年生存割合 95%信頼区間
49 8.1ヶ月 6.6-11.3 35% 21-48

観察期間中央値:7.8ヶ月

4. 有害事象
  NCI-CTCグレード [n(%)]
  Grade 1 Grade 2 Grade 3 Grade 4 Grade 3以上
好中球数減少 2 (4) 4 (8) 7 (14) 36 (73) 43 (88)
白血球減少 - - 8 (16) 1 (2) 9 (18)
白血球減少 0 (0) 13 (27) 24 (49) 12 (24) 36 (73)
貧血 8 (16) 19 (39) 3 (6) 3 (6) 6 (12)
血小板数減少 11 (23) 1 (2) 2 (4) 0 (0) 2 (4)
食欲不振 22 (45) 5 (10) 9 (18) 0 (0) 9 (18)
疲労 26 (53) 12 (24) 6 (12) 0 (0) 6 (12)
下痢 15 (31) 2 (4) 3 (6) 0 (0) 3 (6)
悪心 14 (29) 2 (4) 2 (4) - 2 (4)
嘔吐 6 (12) 2 (4) 0 (0) 0 (0) 0 (0)
  • ドセタキセルの減量は18例(37%)/全171コース中53コース(31%)に要した。
  • 相対用量強度は0.893であった。
  • G-CSFは28例(57%)/全171コース中99コース(58%)に要した。
  • 好中球数最低値までの期間中央値は9日であり、最低値から好中球数2000/mm3以上まで回復するまでの期間中央値は、G-CSF使用時で6日、未使用時で10日であった。
結語
転移性食道癌に対するドセタキセル単剤療法(70mg/m2, 3週毎投与)は有効性を示したが、好中球数減少に対しては慎重な管理が必要と考えられた。
執筆:神戸市立医療センター中央市民病院 腫瘍内科 医長 松本 俊彦 先生
監修:北海道大学病院 消化器内科 助教 結城 敏志 先生

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