肝細胞癌 (CDDP肝動注)

Sorafenib plus hepatic arterial infusion chemotherapy with cisplatin versus sorafenib for advanced hepatocellular carcinoma: randomized phase II trial

Ikeda M, Shimizu S, Sato T, et al, Ann Oncol. 2016 Nov; 27(11): 2090-2096. [PubMed]

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対象疾患 治療ライン 研究の相 主要評価項目 実施地域 日本の参加
肝細胞癌 一次治療 第2相 全生存期間 国内 あり

試験名 :なし

レジメン:ソラフェニブ vs ソラフェニブ+シスプラチン肝動注化学療法

登録期間:2011年6月〜2013年12月

背景

ソラフェニブ(SOR)は切除不能な肝細胞癌に対する標準治療であり、いずれの第3相試験においても、SORに対して優越性を示した薬剤は存在しない。一方、肝動注化学療法については、一定の有効性及び安全性は報告されているものの、標準治療としての位置付けに至るまでのコンセンサスは得られていない。シスプラチン(CDDP)肝動注化学療法はリザーバー留置を必要としないこと、様々な癌腫を対象にSORとCDDPとの併用についての臨床試験が実施され良好な結果が報告されていること等を踏まえ、SORとCDDP肝動注化学療法との併用(SOR/CDDP)の有効性及び安全性を検討することを目的とした本試験の実施に至った。

シェーマ

統計学的事項

主要評価項目:全生存期間

SOR群に対するSOR/CDDP群の全生存期間のハザード比を0.74と見込み、105例の登録が必要とされた。

試験結果:

  • 登録期間において、108例が登録された。
  • 両群の患者背景について、HCVの既往の割合がSOR/CDDP群と比較してSOR群で高く、門脈腫瘍栓の割合がSOR群と比較してSOR/CDDP群で高かったものの、当該因子以外の背景因子については両群間に偏りは認められなかった。
1. 全生存期間(主要評価項目)
  中央値 HR 0.60     
(95%C.I. 0.38-0.96)
p=0.031     
SOR群(n=41) 8.7ヶ月
SOR/CDDP群(n=65) 10.6ヶ月
2. 無増悪生存期間(modified RECIST, 中央判定)
  中央値 HR 0.78     
(95%C.I. 0.50-1.21)
p=0.257     
SOR群(n=41) 2.8ヶ月
SOR/CDDP群(n=65) 3.1ヶ月
3. 奏効割合(modified RECIST, 中央判定)
  奏効割合 95%信頼区間 p=0.09
SOR群(n=41) 7.3 1.5-19.9
SOR/CDDP群(n=60) 21.7 12.1-34.2
4. 有害事象(NCI CTCAE ver. 4.0)
  SOR群(N=41) SOR/CDDP群(N=65)
  全Grade Grade 3/4 全Grade Grade 3/4
白血球減少 18 (43.9%) 0 49 (75.4%) 12 (18.5%)
好中球減少 18 (43.9%) 0 39 (60.0%) 10 (15.4%)
貧血 30 (73.2%) 3 (7.3%) 58 (89.2%) 8 (12.3%)
血小板減少 33 (80.5%) 1 (2.4%) 58 (89.2%) 19 (29.2%)
ビリルビン上昇 29 (70.7%) 5 (12.2%) 48 (73.8%) 8 (12.3%)
AST上昇 41 (100%) 11 (26.8%) 65 (100%) 22 (33.8%)
ALT上昇 37 (90.2%) 8 (19.5%) 61 (93.8%) 13 (20.0%)
ΓGTP上昇 37 (90.2%) 16 (39.0%) 63 (96.9%) 24 (36.9%)
低アルブミン血症 32 (78.0%) 3 (7.3%) 63 (96.9%) 2 (3.1%)
クレアチニン上昇 11 (26.8%) 0 25 (38.5%) 1 (1.5%)
低ナトリウム血症 22 (53.7%) 5 (12.2%) 53 (81.5%) 18 (27.7%)
アミラーゼ上昇 21 (52.5%) 0 41 (64.1%) 11 (17.2%)
疲労 16 (39.0%) 1 (2.4%) 28 (43.1%) 7 (10.8%)
全身倦怠感 17 (41.5%) 0 31 (47.7%) 0
食欲低下 22 (53.7%) 1 (2.4%) 45 (69.2%) 6 (9.3%)
悪心 8 (19.5%) 0 27 (41.5%) 0
嘔吐 5 (12.2%) 0 12 (18.5%) 0
下痢 17 (41.5%) 1 (2.4%) 23 (35.4%) 4 (6.2%)
手足症候群 26 (63.4%) 7 (17.1%) 41 (63.1%) 9 (13.8%)
発疹 11 (26.8%) 2 (4.9%) 12 (18.5%) 3 (4.6%)
高血圧 24 (58.5%) 9 (22.0%) 32 (49.2%) 19 (29.2%)
吃逆 0 0 6 (9.2%) 0
結語
主要評価項目とされた全生存期間について、SOR群と比較してSOR/CDDP群で延長が認められ、予め設定された有効性の判断基準を満たした。しかしながら、本試験は無作為化第2相試験であり、切除不能な進行肝細胞癌に対するSOR/CDDPの臨床的有用性に関して確定的な結論に至ることはできなかった。
執筆:神奈川県立がんセンター 消化器内科肝胆膵 医長 手塚 瞬 先生
監修:国立がん研究センター東病院 肝胆膵内科 科長 池田 公史 先生

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