肝細胞癌 Checkmate 040

Nivolumab in patients with advanced hepatocellular carcinoma (CheckMate 040): an open-label, non-comparative, phase 1/2 dose escalation and expansion trial.

El-Khoueiry AB, Sangro B, Yau T. et al. Lancet. 2017; 389: 2492-502. [PubMed]

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対象疾患 治療ライン 研究の相 主要評価項目 実施地域 日本の参加
肝細胞癌 主に二次治療
(一次治療の患者も一部含む)
第1/2相 第1相: 安全性・忍容性
第2相: 奏効割合
国際 あり

試験名 : Checkmate 040

レジメン:ニボルマブ

登録期間:2012年11月〜2016年8月

背景

進行肝細胞癌に対する一次治療として、ソラフェニブやレンバチニブが生存期間の延長を示したが、いずれもマルチキナーゼ阻害薬であり、忍容性に課題があった。
抗PD-1抗体であるニボルマブは様々な癌腫において有効性を示しており、肝細胞癌においてもPD-1を発現した腫瘍浸潤リンパ球の存在下では有効性が期待されている。
本試験は、PD-1阻害薬の進行肝細胞癌患者に対する初めての報告である。HBV/HCV感染合併例におけるニボルマブの安全性、および進行肝細胞癌に対する二次治療を主としての有効性と安全性が検討された。

シェーマ

統計学的事項

主要評価項目:安全性および忍容性(第1相パート)、奏効割合(第2相パート)

第1相パートでは、ニボルマブの投与を2週毎として、0.1mg/kgから開始し、3+3デザインを用いて各用量に最大6例を登録し、0.3mg/kg、1.0mg/kg、3.0mg/kg、10mg/kgと漸増した。
最大耐用量は3回目のニボルマブ投与後2週間までに発現した有害事象を基に決定した。

第2相パートの主要評価項目はRECIST v1.1に基づく奏効割合とし、HBV感染例、HCV感染例、HBVおよびHCV非感染例の3群において、それぞれの奏効割合の閾値10%、期待値を20%と仮定すると、各群50例程度の登録が必要と設定された。

試験結果:

2012年11月から2016年8月までの間に適格となった262例にニボルマブが投与された(第1相パート 48例、第2相パート 214例)。
データカットオフは、2016年8月に行われた。
コホート毎の患者背景に大きな隔たりは認められなかった。

第1相パート

1. 登録例内訳
第1相 n=48
 3+3 デザイン
0.1mg/kg
n=6
0.3mg/kg
n=9
1.0mg/kg
n=10
3.0mg/kg
n=10
10mg/kg
n=13
肝炎ウイルス非感染 n=1 n=3 n=3 n=3 n=13
HCV感染 n=3 n=4 n=3
HBV感染 n=5 n=3 n=3 n=4
2. 治療関連有害事象:NCI CTCAE ver.4.03(主要評価項目)
第1相 0.1mg/kg
(n=6)
0.3mg/kg
(n=9)
1mg/kg
(n=10)
3mg/kg
(n=10)
10mg/kg
(n=13)
 
Grade
Grade
3/4

Grade
Grade
3/4

Grade
Grade
3/4

Grade
Grade
3/4

Grade
Grade
3/4
全有害事象 4(67%) 2(33%) 8(89%) 3(33%) 8(80%) 5(50%) 9(90%) 2(20%) 11(85%) 0
皮疹 1(17%) 0 2(20%) 0 2(20%) 0 2(20%) 0 4(31%) 0
掻痒 2(33%) 0 3(33%) 0 0 0 1(10%) 0 3(23%) 0
下痢 0 0 3(33%) 0 0 0 1(10%) 0 1(8%) 0
食欲不振 1(17%) 0 2(22%) 0 1(10%) 0 0 0 1(8%) 0
疲労 1(17%) 1(17%) 2(22%) 0 1(10%) 0 0 0 0 0
AST上昇 0 0 2(22%) 2(22%) 3(30%) 2(20%) 1(10%) 1(10%) 4(31%) 0
ALT上昇 0 0 2(22%) 2(22%) 1(10%) 0 2(20%) 1(10%) 2(15%) 0
リパーゼ上昇 1(17%) 1(17%) 1(11%) 0 4(40%) 4(40%) 2(20%) 1(10%) 2(15%) 0

用量制限毒性:10mg/kgコホートにおける肝機能障害1例のみ(Grade 2)。
⇒最大耐用量に到達せず。他癌腫のデータを合わせて、第2相パートでは 3mg/kgを選択。

第2相パート

3. 抗腫瘍効果・奏効期間・生存期間
第2相 肝炎ウイルス非感染 肝炎ウイルス感染
  ソラフェニブ未治療または不耐
(n=56)
ソラフェニブ不応
(n=57)
HCV感染
(n=50)
HBV感染
(n=51)
奏効割合(主要評価項目) 13 (23%) 12(21%) 10 (20%) 7 (14%)
完全奏効例 0 2 (4%) 0 1 (2%)
奏効期間
 中央値(95%CI)
8.4ヶ月 (8.3–NE) Not reached 9.9 (4.5 – 9.9) Not reached
全生存期間
 中央値(95%CI)
Not reached 13.2ヶ月 (8.6–NE) Not reached Not reached
無増悪生存期間
 中央値(95%CI)
5.4 (3.9–8.5) 4.0 (2.6–6.7) 4.0 (2.6–5.7) 4.0 (1.3–4.1)

サブ解析

4. PD-L1発現別の奏効割合
  第1相パート
(n=44)
第2相パート
(n=174)
PD-L1 ≧1% 11 (25%) 34 (20%)
 奏効割合 3/11 (27%) 9/34 (26%)
  CR 1 (9%) 1 (3%)
  PR 2 (18%) 8 (24%)
  SD 0 16 (47%)
  PD 7 (64%) 9 (26%)
  Not determined 1 (9%) 0
PD-L1 <1% 33 (75%) 140 (80%)
 奏効割合 4/33 (12%) 26/140(19%)
  CR 2 (6%) 2 (1%)
  PR 2 (6%) 24 (17%)
  SD 19 (58%) 62 (44%)
  PD 8 (24%) 46 (33%)
  Not determined 2 (6%) 6 (4%)

PD-L1の発現は、奏効割合と関連しなかった。

結語
本試験の結果、ニボルマブは肝細胞癌患者において管理可能な有害事象プロファイルを示し、他癌腫と同様であった。長期の奏効は、進行肝細胞癌に対するニボルマブの有効性を示唆した。
執筆:神奈川県立がんセンター 消化器内科 肝胆膵 医長 小林 智 先生
監修:神奈川県立がんセンター 消化器内科 肝胆膵 医長 上野 誠 先生

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