肺癌 CA031

Weekly nab-paclitaxel in combination with carboplatin versus solvent-based paclitaxel plus carboplatin as first-line therapy in patients with advanced non-small-cell lung cancer: final results of phase III trial

Socinski MA, Bondarenko I, Karaseva NA, et al. J Clin Oncol. 2012; 30:2055-2062 . [PubMed]

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対象疾患 治療ライン 研究の相 主要評価項目 実施地域 日本の参加
進行非小細胞肺癌 一次治療 第3相 奏効割合 国際 あり

試験名 :CA031

レジメン:ナブパクリタキセル + カルボプラチン vs パクリタキセル + カルボプラチン

登録期間:2007年11月〜2009年8月

背景

進行非小細胞肺癌患者の標準治療はプラチナ製剤と第三世代細胞障害性抗癌剤(タキサン、ゲムシタビン、ビノレルビン、ペメトレキセド)の併用療法である。米国で最も多く使われているパクリタキセル(PTX)+(CBDCA)併用療法では、奏効割合が15-32%、生存期間中央値が7.9-10.6ヶ月だった。ナブパクリタキセル(nabPTX)は、PTXに130nmのアルブミンを結合させた新しいPTX製剤で、preclinical及び転移性乳癌に対するclinicalなデータにおいても安全性及び有効性が報告されている。さらに、進行非小細胞肺癌に対して行われた用量設定試験において、隔週毎のnabPTX(100 mg/m2)と3週毎のCBDCA(AUC:6)の併用療法が最も安全で、かつ奏効割合48%、生存期間中央値11ヶ月以上と効果も高かったため、本臨床試験においても同レジメンを適応した。そこで本第3相試験(CA031)では、進行非小細胞肺癌患者に対するnabPTX+CBDCA併用療法(nabPTX群)とPTX+CBDCA併用療法(PTX群)が比較された。

シェーマ

統計学的事項

主要評価項目:独立中央判定委員会による奏効割合

PTX群と比較し、nabPTX群の奏効割合が40%改善すると見込み、検出力80%、中間解析のα=0.001、最終解析はα=0.049とし、1050症例の登録が必要と設定された。副次評価項目は無増悪生存期間、生存期間とした。

試験結果:

  • 2007年11月〜2009年8月の間に計1052例が登録された(nab-PTX群521例、PTX群531例)。
  • 患者背景はほぼ均等で、年齢中央値が60歳、全症例の85%が75歳以下だった。男性が75%、白人が81%、喫煙者が73%、ステージⅣが79%だった。
1. 奏効割合(主要評価項目)
  nabPTX群 PTX群    
  No. %(95% CI) No. %(95% CI) 奏効割合比(95% CI) p
Intent-to-treat n=521 n=531    
全奏効割合 170 33(28.6-36.7) 132 25(21.2-28.5) 1.313(1.082-1.593) 0.005
CR 0   1 <1    
PR 170 33 131 25    
SD 104 20 128 24    
PD 83 16 84 16    
扁平上皮群 n=229 n=221    
奏効割合 94 41(34.7-47.4) 54 24(18.8-30.1) 1.680(1.271-2.221) <0.01
非扁平上皮群 n=292 n=310    
奏効割合 76 26(21.0-31.1) 78 25(20.3-30.0) 1.034(0.788-1.358) 0.808
2. 無増悪生存期間
全症例 中央値 95% CI HR 0.902     
(95% CI: 0.767-1.060)
p=0.214     
nabPTX群 6.3ヶ月 5.6-7.0
PTX群 5.8ヶ月 5.6-6.7
3. 全生存期間
全症例 中央値 95% CI HR 0.922     
(95% CI: 0.797-1.066)
p=0.271      
nabPTX群 12.1ヶ月 10.8-12.9
PTX群 11.2ヶ月 10.3-12.6
扁平上皮癌群 中央値 95% CI HR 0.890     
(95% CI: 0.719-1.101)
p=0.284      
nabPTX群 10.7ヶ月 9.4-12.5
PTX群 9.5ヶ月 8.6-11.6
4.有害事象(NCI CTCAE ver.3.0)
  nabPTX群 (%) (n=514) PTX群 (%) (n=524)
  Grade 3 Grade 4 Grade 3 Grade 4
好中球減少 33 14 32 26
血小板減少 13 5 7 2
貧血 22 5 6 <1
発熱性好中球減少症 <1 <1 1 <1
倦怠感 4 <1 6 <1
感覚性神経障害 3 0 11 <1
食思不振 2 0 <1 0
悪心 <1 0 <1 0
筋肉痛 <1 0 2 0
関節痛 0 0 2 0
  • 血液学的毒性は、好中球減少(nabPTX群:47% vs PTX群:58%)、血小板減少(18% vs 9%)、貧血(27% vs 7%)だった。
  • 感覚性神経障害(全Grade)に関しては、PTX群(62%)と比較しnabPTX群(46%)が有意に少なかった(p<0.001)。
  • Grade 3以上の感覚性神経障害は、nabPTX群でより少なく、さらにより早く症状の改善を認めた(38日 vs 104日)。
結語
進行非小細胞肺癌患者の一次治療として、nabPTX群はPTX群と比較して、生存期間及び無増悪生存期間の有意な延長は示さなかったが、奏効割合は有意に改善させた。
関連論文
・ Efficacy and safety of weekly nab-paclitaxel plus carboplatin in patients with advanced non-small cell lung cancer. Lung Cancer. 2013; 81 (1) : 97-101.[Pubmed]
・ Survival, quality-adjusted survival, and other clinical end points in older advanced non-small-cell lung cancer patients treated with albumin-bound paclitaxel. Br J Cancer. 2015 Jun 30;113(1):20-9. doi: 10.1038/bjc.2015.181. [Pubmed]
執筆:琉球大学大学院医学部研究科 感染症・呼吸器・消化器内科学講座 医員 柴原 大典 先生
監修:市立岸和田市民病院 腫瘍内科 医長 谷崎 潤子 先生

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