肺癌 CheckMate057

Nivolumab versus Docetaxel in Advanced Nonsquamous Non-Small-Cell Lung Cancer

Borghaei H, Paz-Ares L, Horn L, et al. N Engl J Med 2015;373:1627-39 [PubMed]

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対象疾患 治療ライン 研究の相 主要評価項目 実施地域 日本の参加
非扁平上皮非小細胞肺癌 二次治療
三次治療
第3相 全生存期間 国際 なし

試験名 :CheckMate057

レジメン:ニボルマブ vs ドセタキセル

登録期間:2012年11月〜2013年12月

背景

非小細胞肺癌における2次治療以降の選択肢は限られており、プラチナ併用化学療法増悪後の二次治療の標準治療は長らくドセタキセル (DOC) 単剤であった。ニボルマブ(NIVO)はPD-1に対するヒト型IgG4モノクローナル抗体で、免疫チェックポイントの一つであるPD-1経路を阻害することで抗腫瘍免疫効果を発揮する免疫チェックポイント阻害剤である。これまでの第1相試験で非小細胞肺癌に対するNIVOの効果は有望であり、今回、プラチナ併用化学療法既治療の非扁平上皮非小細胞肺癌を対象として、NIVOとDOCの有効性を比較する第3相試験であるCheckMate057試験が行われた。

シェーマ

統計学的事項

主要評価項目:全生存期間(OS)

OS中央値をDOC 8ヶ月, NIVO 9.8ヶ月と仮定し, 両側α=0.05, 検出力 90%とすると、442イベントが必要と見込まれ、574例の登録が必要と考えられた。予定OSイベントの86%が発生した時点で1回の中間解析が予定された。中間解析時点における有意水準は0.0408であった。当初はOSが比例ハザード性に従うと仮定してHR 0.72としてサンプルサイズ計算がなされたが、NIVO群に異なる治療反応性を示す2つの集団が含まれると考えられたことから、途中で非比例ハザード性に基づく設計に変更された。

試験結果:

  • 2012年11月から2013年12月までに792例が登録、582例がランダム化され、NIVO群に292例、DOC群に290例が割り付けられた。最小フォローアップ期間は13.2ヶ月であった。
  • 中間解析においてOSの統計学的有意差が認められたため、効果安全性評価委員会により試験の早期終了が勧告された。
  • 患者背景に目立った差を認めなかった。
  • 455例(78%)で免疫組織化学 (IHC) による腫瘍細胞のPD-L1の発現が評価可能であった (抗PD-L1抗体クローン: 28-8)。
  • NIVO群では増悪後に23%の症例でDOCの投与を受けた。DOC群では増悪後に2%の症例で免疫チェックポイント阻害薬の投与を受けた。
1. 全生存期間(主要評価項目)
  中央値 95%信頼区間 HR 0.73     
(96%CI 0.59-0.89)
p=0.002     
NIVO群 12.2ヶ月 9.7-15.0
DOC群 9.4ヶ月 8.1-10.7
  • NIVO群はDOC群と比較してOSを有意に延長した。
  • 1年生存割合はNIVO群で51%(95%CI 45-56)、DOC群で39%(95%CI 33-45)であった。
2. 無増悪生存期間
  中央値 95%信頼区間 HR 0.92      
(95%CI 0.77-1.11)
P=0.39     
NIVO群 2.3ヶ月 2.2-3.3
DOC群 4.2ヶ月 3.5-4.9
3. 奏効割合
  奏効割合 95%信頼区間 p=0.02
NIVO群 19% 15-24
DOC群 12% 9-17
  • 奏効割合はDOC群と比較しNIVO群で有意に高かった。
4. 有害事象
  NIVO群 (N=287) DOC群 (N=268)
  Any grade Grade 3-4 Any grade Grade 3-4
全有害事象 199 (69%) 30 (10%) 236 (88%) 144 (54%)
疲労 46 (16%) 3 (1%) 78 (29%) 13 (5%)
悪心 34 (12%) 2 (1%) 70 (26%) 2 (1%)
食欲不振 30 (10%) 0 42 (16%) 3 (1%)
無力症 29 (10%) 1 (<1%) 47 (18%) 6 (2%)
下痢 22 (8%) 2 (1%) 62 (23%) 3 (1%)
浮腫 8 (3%) 0 28 (10%) 1 (<1%)
筋痛 7 (2%) 1 (<1%) 30 (11%) 0
貧血 6 (2%) 1 (<1%) 53 (20%) 7 (3%)
脱毛 1 (<1%) 0 67 (25%) 0
好中球減少症 1 (<1%) 0 83 (31%) 73 (27%)
発熱性好中球減少症 0 0 27 (10%) 26 (10%)
白血球減少症 0 0 27 (10%) 22 (8%)
  • 全有害事象の頻度は両群で大きな差を認めなかったが、重篤な有害事象はNIVO群で7%、DOC群で20%でありNIVO群で少ない傾向を示した。
  • 治療関連有害事象、重篤な有害事象、治療薬の中断を要する有害事象についてはPD-L1発現1%以上及び1%以下のサブグループで差を認めなかった。
  • NIVO群では免疫関連有害事象と思われる皮膚障害、肝障害、甲状腺機能低下症、大腸炎、肺臓炎などを認め、必要に応じてステロイドを中心とした免疫調節薬が使用された。
  • NIVO群で1例脳炎により死亡、DOC群で1例発熱性好中球減少症により死亡した。
5. サブグループ解析
  • OSのサブグループ解析において、ほとんどのサブグループでNIVO群のOSが良好であったが、以下のサブグループではDOC群でOSが良い傾向であった;三次治療 (HR1.34[95%CI 0.73-2.43])、EGFR変異症例 (HR1.18 [95%CI 0.69-2.00])。
  • ベースラインのPD-L1発現別のサブグループ解析では、いずれのカットオフ値 (1%, 5%, 10%) においても、OS, PFS, 奏効割合はPD-L1発現がカットオフ値以上で有意に良好であった。

PD-L1発現に基づくOSのハザード比

PD-L1発現カットオフ   NIVO群 (n) DOC群 (n) Unstratified HR(95%信頼区間)  
1% ≧1% 123 123 0.59 (0.43-0.82) P=0.06
<1% 108 101 0.90 (0.66-1.24)
5% ≧5% 95 86 0.43 (0.30-0.63) P<0.001
<5% 136 138 1.01 (0.77-1.34)
10% ≧10% 86 79 0.40 (0.26-0.59) P<0.001
<10% 145 145 1.00 (0.76-1.31)

結語
既治療進行非扁平上皮非小細胞肺癌において、NIVO群はDOC群より全生存期間を統計学的に有意に延長した。毒性は許容されるものであった。

関連論文
・ Four-year survival with nivolumab in patients with previously treated advanced non-small-cell lung cancer: a pooled analysis. Lancet Oncol. 2019 Oct;20(10):1395-1408. [Pubmed]
・ Nivolumab versus docetaxel in previously treated advanced non-small-cell lung cancer (CheckMate 017 and CheckMate 057): 3-year update and outcomes in patients with liver metastases. Ann Oncol. 2018 Apr 1;29(4):959-965. [Pubmed]
・ Nivolumab Versus Docetaxel in Previously Treated Patients With Advanced Non-Small-Cell Lung Cancer: Two-Year Outcomes From Two Randomized, Open-Label, Phase III Trials (CheckMate 017 and CheckMate 057) J Clin Oncol. 2017 Dec 10;35(35):3924-3933. [Pubmed]
・ Evaluation of health-related quality of life and symptoms in patients with advanced non-squamous non-small cell lung cancer treated with nivolumab or docetaxel in CheckMate 057. Eur J Cancer. 2018 Oct;102:23-30. [Pubmed]

執筆:慶應義塾大学病院 呼吸器内科 助教 堀内 康平 先生
監修:順天堂大学大学院医学研究科呼吸器内科学 助教 朝尾 哲彦 先生

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