肺癌 FLAURA

Osimertinib in Untreated EGFR-Mutated Advanced Non-Small-Cell Lung Cancer

Soria JC et al, N Engl J Med. 2018; 378(2): 113-25. [PubMed]

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対象疾患 治療ライン 研究の相 主要評価項目 実施地域 日本の参加
非小細胞肺癌 一次治療 第3相 無増悪生存期間 国際 あり

試験名 :FLAURA

レジメン:オシメルチニブvs ゲフィチニブまたはエルロチニブ

登録期間:2014年12月〜2016年3月

背景

未治療EGFR遺伝子変異陽性非小細胞肺癌(NSCLC)に対する一次治療として、第一世代EGFRチロシンキナーゼ阻害薬(EGFR-TKI)であるゲフィチニブ(GEF)やエルロチニブ(ERL)、第二世代EGFR-TKIであるアファチニブが標準治療となっている。第三世代EGFR-TKIであるオシメルチニブ(OSI)は、第一世代、第二世代EGFR-TKIに対する耐性例の約50%で認められるEGFR T790M変異陽性例に対して有効であることが知られている。しかし、OSIを一次治療で使用した場合の有効性はまだ検証されていない。この試験では、EGFR遺伝子変異陽性NSCLCの一次治療として、OSIと標準治療であるGEFまたはERLの有効性を比較した第3相試験である。

シェーマ

統計学的事項

主要評価項目:

本試験の主要評価項目は、無増悪生存期間(PFS)、副次評価項目は、全生存期間(OS)、客観的奏効割合、奏効期間、病勢制御割合、安全性とした。層別化因子は、人種(アジア人 vs 非アジア人)、EGFR遺伝子変異の種類(ex19del vs L858R)とした。両側αが5%でハザード比 0.71を検出力 90%で検出するためには、両群の症例数を530例、進行または死亡のイベントが359例で必要であった。有効性のデータカットオフは2017年6月12日とした。

試験結果:

  • 2014年12月~2016年3月に29か国132施設から556症例が登録され、OSI群に279例、標準治療群(GEFまたはERL)に277例が割り付けられた。
  • 標準治療群では、GEF投与例が183例、ERL投与例が94例であった。
  • 総投与期間の中央値はOSI群で16.2か月(範囲:0.1-27.4か月)、標準治療群で11.5か月(範囲:0-26.2か月)であった。
  • OSI群と標準治療群において、臨床背景に大きな違いはみられなかった。
  • 標準治療群のうち、55例(43%)で後治療としてOSIが投与された (48例がクロスオーバー、7例が治験外)。
1. PFS(主要評価項目)
  中央値 95%信頼区間 HR 0.46        
(95%信頼区間: 0.37-0.57)
P<0.001        
OSI群 18.9ヶ月 15.2-21.4ヵ月
標準治療群 10.2ヶ月 9.6-11.1ヵ月
  • PFSの追跡期間中央値はOSI群 15.0ヵ月 (範囲:0-25.1ヵ月)、標準治療群 9.7ヵ月 (範囲:0-26.1ヵ月)であった。
  • 最初の評価時点である6週時点から両群のカプランマイヤー曲線は離れていた。
  • いずれのサブグループにおいても、OSI群が標準治療群より有意にPFSの延長を認めていた。
2. 中枢神経転移のある症例のPFS
  中央値 95%信頼区間 HR 0.47        
(95%信頼区間:0.30-0.74)
P<0.001        
OSI群 15.2ヶ月 12.1-21.4ヵ月
標準治療群 9.6ヶ月 7.0-12.4ヵ月
3. 中枢神経転移のない症例のPFS
  中央値 95%信頼区間 HR 0.46         
(95%信頼区間:0.36-0.59)
P<0.001        
OSI群 19.1ヶ月 15.2-23.5ヵ月
標準治療群 10.9ヶ月 9.6-12.3ヵ月
4. OS
  中央値 95%信頼区間 HR 0.63         
(95%信頼区間:0.45-0.88)
P=0.007         
OSI群 NC* NC-NC
標準治療群 NC NC-NC

*NC: could not be calculated

5. 客観的奏効割合
  中央値 95%信頼区間 オッズ比 1.27       
(95%信頼区間:0.85-1.90)
P=0.24         
OSI群 80% 75-85%
標準治療群 76% 70-81%
6. 病勢制御割合
  中央値 95%信頼区間 オッズ比 2.78      
(95%信頼区間:1.25-6.78)
P=0.01         
OSI群 97% 94-99%
標準治療群 92% 89-95%
7. 奏効期間
  奏効期間中央値 95%信頼区間
OSI群 17.2ヶ月 13.8-22.0ヵ月
標準治療群 8.5ヶ月 7.3-9.8ヵ月
8. 有害事象
  OSI群 (N=278) 標準治療群 (N=277)
  Any Grade Grade
1
Grade
2
Grade
3
Grade
4
Any Grade Grade
1
Grade
2
Grade
3
Grade
4
すべての有害事象 273 (98%) 34 (12%) 144 (52%) 83 (30%) 6
(2%)
271 (98%) 22
(8%)
125 (45%) 103 (37%) 11 (4%)
皮疹またはざ瘡様皮疹 161 (58%) 134 (48%) 24
(9%)
3
(1%)
0 216 (78%) 110 (40%) 87 (31%) 19
(7%)
0
下痢 161 (58%) 120 (43%) 35 (13%) 6
(2%)
0 159 (57%) 116 (42%) 35 (13%) 6
(2%)
0
皮膚乾燥 100 (36%) 87 (31%) 12
(4%)
1 (<1%) 0 100 (36%) 76 (27%) 21
(8%)
3
(1%)
0
爪囲炎 97 (35%) 52 (19%) 44 (16%) 1 (<1%) 0 91 (33%) 55 (20%) 34 (12%) 2
(1%)
0
口内炎 80 (29%) 65 (23%) 13
(5%)
1 (<1%) 1 (<1%) 56 (20%) 47 (17%) 8
(3%)
1
(<1%)
0
食欲不振 56 (20%) 27 (10%) 22
(8%)
7
(3%)
0 52 (19%) 25
(9%)
22
(8%)
5
(2%)
0
掻痒症 48 (17%) 40 (14%) 7
(3%)
1 (<1%) 0 43 (16%) 30 (11%) 13
(5%)
0 0
咳嗽 46 (10%) 34 (12%) 12
(4%)
0 0 42 (15%) 25
(9%)
16
(6%)
1
(<1%)
0
便秘 42 (15%) 33 (12%) 9
(3%)
0 0 35 (13%) 28 (10%) 7
(3%)
0 0
悪心 39 (14%) 28 (10%) 11
(4%)
0 0 52 (19%) 32 (12%) 19
(7%)
0 0
疲労 38 (14%) 21
(8%)
15
(5%)
2
(1%)
0 33 (12%) 23
(8%)
8
(3%)
2
(1%)
0
呼吸困難 35 (13%) 24
(9%)
10
(4%)
1 (<1%) 0 20
(7%)
8
(3%)
8
(3%)
3
(1%)
0
貧血 34 (12%) 19
(7%)
12
(4%)
3
(1%)
0 25
(9%)
18
(6%)
4
(1%)
3
(1%)
0
頭痛 33 (12%) 26
(9%)
6
(2%)
1 (<1%) 0 19
(7%)
12
(4%)
7
(3%)
0 0
嘔吐 31 (11%) 25
(9%)
6
(2%)
0 0 29 (10%) 22
(8%)
3
(1%)
4
(1%)
0
上気道感染 28 (10%) 16
(6%)
12
(4%)
0 0 18
(6%)
9
(3%)
9
(3%)
0 0
発熱 28 (10%) 27 (10%) 1
(<1%)
0 0 11
(4%)
8
(3%)
2
(1%)
1
(<1%)
0
QT延長 28 (10%) 11
(4%)
11
(4%)
5
(2%)
1 (<1%) 11
(4%)
6
(2%)
3
(1%)
2
(1%)
0
AST増加 26
(9%)
18
(6%)
6
(2%)
2
(1%)
0 68 (25%) 38 (14%) 18
(1%)
12
(4%)
0
脱毛 20
(7%)
17
(6%)
3 (14.3%) 0 0 35 (13%) 31 (11%) 4
(1%)
0 0
ALT増加 18
(6%)
11
(4%)
6
(2%)
1 (<1%) 0 75 (27%) 31 (11%) 19
(7%)
21
(8%)
4
(1%)
結語
EGFR遺伝子変異陽性NSCLCの一次治療において、OSI群は標準治療群(GEFまたはERL)と比較して有意にPFSを延長した。
執筆:横浜市立大学附属病院 呼吸器病学教室 久保 創介 先生
監修:静岡県立静岡がんセンター 呼吸器内科 医長 和久田 一茂 先生

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