肺癌 NEJ026

Erlotinib plus bevacizumab versus erlotinib alone in patients with EGFR-positive advanced non-squamous non-small-cell lung cancer (NEJ026): interim analysis of an open-label, randomised, multicentre, phase 3 trial.

Saito H, Fukuhara T, Furuya N, et al. Lancet Oncol. 2019;20(5):625-35 [PubMed]

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対象疾患 治療ライン 研究の相 主要評価項目 実施地域 日本の参加
非小細胞肺癌 一次治療 第3相 無増悪生存期間 国内 あり

試験名 :NEJ026

レジメン:エルロチニブ+ベバシズマブvsエルロチニブ

登録期間:2015年6月〜2016年8月

背景

進行非小細胞肺癌 (NSCLC)において、EGFR 遺伝子変異を有する患者はEGFRチロシンキナーゼ阻害薬 (EGFR-TKI)が有効である。良好な抗腫瘍効果を認めるものの、いずれ病勢進行を認めることから、腫瘍を長期に制御するために、EGFR-TKIを主軸とした併用療法の開発が行われている。
EGFR-TKIとの併用療法のパートナーとして、血管新生阻害薬が注目されている。エルロチニブ(ERL)とベバシズマブ(BEV)の併用療法とERL単独療法を比較した第3相試験であるBeTa試験の事後分析では、EGFR 遺伝子変異陽性患者に限定した少数例の検討において、併用療法群は単独療法群と比較して、無増悪生存期間 (PFS)の延長を示した。この結果を受けて、EGFR 遺伝子変異陽性NSCLCを対象として、ERL+BEV群とERL群を比較する無作為化国内第2相試験 (JO25567試験)が実施された。ERL+BEV群はERL群と比較して、HR 0.54 (95%CI 0.36-0.79、P = 0.0015)とPFSの有意な延長を示した (PFS中央値 16か月 vs. 9.7か月)。しかしOSの改善にはつながらなかった (47.0か月 vs. 47.4か月、HR 0.81、95%CI 0.53–1.23、P = 0.3267)。このJO25567試験は探索的な第2相試験であるため、第3相試験での検証が必要である。そこで、EGFR 遺伝子変異陽性NSCLCを対象とした第3相試験であるNEJ026試験が実施され、中間解析の結果が発表された。

シェーマ

統計学的事項

主要評価項目:無増悪生存期間(PFS)
主な副次的評価項目: OS、抗腫瘍効果 (奏効割合、病勢コントロール率、奏効期間)、安全性、QOL

本試験は、JO25567試験を参考にして、PFS中央値がERL群で10か月、ERL+BEV群で16か月 (HR 0.63)と仮定し、αエラー0.05 (両側)において、検出力80%を確保するための必要症例数は両群合計で214例と設定された。
中間解析はPFSの必要イベント数の67% (100例)が観察された時点で行うように計画された。2017年9月に中間解析が実施され、117例 (79.6%)がPFSイベントを発生していた。オブライエン-フレミング (O’Brien-Fleming)の多重検定補正法を用いて、中間解析に対する有意水準は0.024と計算された。

試験結果:

  • 2015年6月から2016年8月の間に228例が登録された。
  • 中間解析の2017年9月のデータカットオフ時点で、PFS中央値は,ERL群13.3か月に対し、ERL+BEV群は16.9か月であった。ERL群に対するERL+BEV群のハザード比は0.605 (95%CI 0.417-0.877、P = 0.016)で、PFSは有意に延長していた。
  • 本試験のOSは中間解析時点では未成熟であった。
  • Post-hocのサブグループ解析において、EGFR 遺伝子変異のサブタイプでは、L858Rを有する患者でERL+BEV群がERL群より良好なPFSであった。
  • 最もよく見られたgrade 3-4の有害事象は皮疹であった。治療関連死は認められなかった。高血圧、蛋白尿、出血の頻度は、ERL+BEV群がERL群より高く、これらの有害事象はBEV治療と関連していた。
1. 無増悪生存期間(主要評価項目)
  中央値 95%信頼区間 HR 0.605  
(0.417-0.877)
P = 0.016  
ERL+BEV群 16.9ヶ月 14.2-21.0
ERL群 13.3ヶ月 11.1-15.3
2. 無増悪生存期間のサブグループ解析
  ERL+BEV群 (n/N) ERL群 (n/N) HR (95%CI)
EGFR変異      
 L858R 24/56 33/57 0.57 (0.33-0.97)
 Del 19 28/56 32/55 0.69 (0.41-1.16)
中枢神経系転移      
 なし 30/76 44/76 0.56 (0.35-0.90)
 あり 22/36 21/36 0.78 (0.42-1.43)
胸水      
 なし 29/67 36/66 0.67 (0.41-1.10)
 あり 23/45 29/46 0.58 (0.34-1.02)
3. 奏効割合
  奏効割合 95%信頼区間 P = 0.31
ERL+BEV群 72% 63.1-80.4
ERL群 66% 56.5-74.7
4. 有害事象
  ERL+BEV群 ERL群
  All grades (n=112) Grade 3-4 (n=112) All grades (n=114) Grade 3-4 (n=114)
皮疹 88% 21% 87% 21%
下痢 47% 5% 41% 2%
高血圧 46% 23% 10% 1%
蛋白尿 32% 7% 5% 1%
肝機能障害 27% 8% 30% 5%
肺出血 2% 0% 0% 0%
出血 (肺出血を除く) 26% 2% 3% 1%
血栓 2% 1% 5% 1%
間質性肺炎 0% 0% 4% 0%
結語
中間解析の結果より、ERL+BEV群はERL群と比較して有意にPFSを延長した。この併用療法をさらに評価するためにはOSに関する解析結果が待たれる。
※2020年のASCOで最終のOSの解析結果が報告された (データカットオフ日は2019年11月30日)。両群間でOSに差は認められなかった (ERL+BEV 50.7ヶ月 vs ERL 46.2ヶ月、HR 1.007 95%CI 0.681–1.490、P = 0.973) (Maemondo M, et al. J Clin Oncol; 38(suppl): 9506)。
関連論文
・ Fukuhara T, Saito H, Furuya N, et al. Evaluation of plasma EGFR mutation as an early predictor of response of erlotinib plus bevacizumab treatment in the NEJ026 study. EBioMedicine. Epub 2020 Jul 3. [Pubmed]
執筆:近畿大学医学部 内科学教室 腫瘍内科部門 助教 加藤 了資 先生
監修:市立岸和田市民病院 腫瘍内科 医長 谷崎 潤子 先生

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