肺癌 PROFILE 1001

Crizotinib in ROS1-Rearranged Non-Small-Cell Lung Cancer

Alice T Shaw, Sai-Hong I Ou, Yung-Jue Bang.et al. N Engl J Med. 2014; 371(21): 1963-71. [PubMed]

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対象疾患 治療ライン 研究の相 主要評価項目 実施地域 日本の参加
ROS1融合遺伝子陽性非小細胞肺癌 - 第1相 奏効割合 国際 不明

試験名 :PROFILE 1001

レジメン:crizotinib

登録期間:2010年10月〜2013年8月

背景

ROS1融合遺伝子は、非小細胞肺癌の約1-2%にみられる癌原遺伝子である。本邦では2012年に承認された第1世代ALK阻害薬であるクリゾチニブは、ALK融合遺伝子のほか、c-Met/肝細胞増殖因子受容体(HGFR)、ROS1およびRecepteur d’Origine Nantais (RON)に対するチロシンキナーゼ阻害薬であり、ROS1融合遺伝子陽性肺癌に対する標的特異的な治療となりうる。PROFILE1001試験は、進行期ROS1融合遺伝子陽性非小細胞肺癌の患者を対象としたクリゾチニブの有効性および安全性を検証した非盲検、多施設、単群、国際共同、第1相試験である。推奨用量(250㎎/回、1日2回)での拡大コホートとして、50人を登録した結果が報告された。

シェーマ

統計学的事項

主要評価項目:奏効割合

クリゾチニブに対する奏効割合が10%以下とする帰無仮説と、10%以上とする対立仮説で、片側α=0.05、検出力を85%で検定するためには30例の登録を必要とした。
対立仮説での奏効割合は30%と仮定した。2012年4月の段階で評価可能な14例中8例で奏効を確認していたため、帰無仮説を棄却したため、より正確な評価をおこなうためサンプルサイズを最大50例に拡大した。

試験結果:

  • 2010年10月から2013年8月までに50人の患者が登録された。
  • 78%の患者に喫煙歴がなく、98%の患者の組織型は腺癌だった。86%の患者は既治療例だった。
  • FISH法によりROS1融合遺伝子を同定されたのが49例(98%[※そのうち1例は次世代シーケンサーでROS1融合遺伝子は陰性であり、1例はFISH法でALK、ROS1いずれの融合遺伝子も陽性であったが、次世代シーケンサーではALK融合遺伝子のみ陽性であった])、RT-PCRでROS-1融合遺伝子を同定されたのが1例(2%)であった。
  • データカットオフは、安全性に関しては2014年4月11日、薬物動態に関しては2014年5月16日だった。
1. 治療効果

クリゾチニブの客観的奏効割合(ORR)は72%だった。

治療効果 人数(%)
完全奏効 (CR) 3(6%)
部分奏効 (PR) 33(66%)
安定  (SD) 9(18%)
進行  (PD) 3(6%)
早期死亡 2(4%)
奏効割合(ORR) 72% (95% CI 58-84)
初回奏効までの時間 中央値 7.9週 (range 4.3-32.0週)
奏効期間 中央値 17.6ヶ月(95% CI 14.5-NR)
2. 無増悪生存期間

無増悪生存期間中央値は19.2ヶ月(95% CI 14.4-NR)だった。

3. 全生存期間

12ヶ月生存率は85%(95% CI 72-93)であり、全生存期間中央値は未到達だった。

4. 有害事象

グレード3の治療関連有害事象では、低リン酸血症および好中球減少症(ともに5.0%)が最多であった。グレード4の治療関連有害事象、治療関連死亡は報告されていない。

  人数(%)
  Grade 1 Grade 2 Grade 3 All Grades
視力障害 41(82) 0 0 41(82)
下痢 21(42) 1(2) 0 22(44)
悪心 18(36) 2(4) 0 20(40)
末梢性浮腫 15(30) 5(10) 0 20(40)
便秘 16(32) 1(2) 0 17(34)
嘔吐 15(30) 1(2) 1(2) 17(34)
AST上昇 9(18) 1(2) 1(2) 11(22)
疲労 9(18) 1(2) 0 10(20)
味覚障害 9(18) 0 0 9(18)
浮動性めまい 8(16) 0 0 8(16)
ALT上昇 3(6) 2(4) 2(4) 7(14)
低リン酸血症 0 2(4) 5(10) 7(14)
テストステロン減少 2(9) 1(5) 0 3(14)
好中球減少 1(2) 0 5(10) 6(12)
消化不良 5(10) 0 0 5(10)
洞性徐脈 5(10) 0 0 5(10)
5. ROS1融合パートナーの同定
  • 腫瘍標本からROS1融合パートナーを標的化次世代シーケンサーまたはRT-PCRアッセイを用いて同定した。
  • ROS1融合パートナーとしては25検体中11検体(14%)にCD74をコードする遺伝子がみられ、他に、SDC4(4例)、EZR(4例)、SLC34A2(3例)、TPM3(1例)、LIMA1、MSNを同定した。
  • クリゾチニブの臨床効果とROS1融合パートナーとの間に相関はみられなかった。
結語
ROS1融合遺伝子陽性非小細胞肺癌に対するクリゾチニブは著明な抗腫瘍効果をみとめた。ROS1融合遺伝子はクリゾチニブが高い活性を示す第2の分子サブグループであることが示唆された。
※その後アップデートされた結果(N=53、2018年6月30日データカットオフ)が報告され、フォローアップ期間中央値62.6ヵ月[95%信頼区間:58.2-66.6ヵ月]における生存期間中央値51.4ヵ月[95%信頼区間:29.3ヵ月-未達]という良好な結果が示された(Shaw, A.T. et al.:Ann Oncol 30(7):1121, 2019)
執筆:千葉大学医学部附属病院 呼吸器内科 医員 日野 葵 先生
監修:神奈川県立循環器呼吸器病センター 呼吸器内科 医長 池田 慧 先生

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