肺癌 WJTOG3405

Gefitinib versus cisplatin plus docetaxel in patients with non-small-cell lung cancer harbouring mutations of the epidermal growth factor receptor (WJTOG3405): an open label, randomised phase 3 trial

Mitsudomi T, Morita S, Yatabe Y, et al. Lancet Oncol. 2010;11(2):121-128. [PubMed]

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対象疾患 治療ライン 研究の相 主要評価項目 実施地域 日本の参加
EGFR陽性非小細胞肺癌 一次治療 第3相 無増悪生存期間 日本 あり

試験名 :WJTOG3405

レジメン:ゲフィチニブ vs シスプラチン+ドセタキセル

登録期間:2006年3月31日〜2009年6月22日

背景

非小細胞肺癌(NSCLC)のうち、上皮成長因子受容体(epidermal growth factor receptor:EGFR)遺伝子変異陽性例は約30-50%を占める。EGFR遺伝子変異陽性例に対して、EGFRチロシンキナーゼ阻害薬(EGFR-TKI)の有効性が複数の早期試験で示されていたが、この試験が開始された時点では、従来の標準治療であるプラチナ併用化学療法とのランダム比較試験は行われていなかった。本試験は、未治療EGFR陽性非小細胞肺癌の患者を対象として、第一世代EGFR-TKIであるゲフィチニブ(GEF)と、従来の標準治療であるプラチナ併用化学療法を比較した多施設共同無作為化非盲検の第3相試験である。

シェーマ

統計学的事項

主要評価項目:無増悪生存期間

本試験はEGFR遺伝子変異陽性例において、シスプラチン(CDDP)+ドセタキセル(DOC)併用療法(化学療法)を対照群としてGEFの優越性を検証した第3相試験である。過去の試験結果から、無増悪生存期間(PFS)中央値をGEF群12.5ヵ月、化学療法群7ヵ月 (ハザード比 0.56) と仮定し、両側α=0.05、検出力=90%と設定すると必要なイベント数は計146、必要症例数は計200例となった。

試験結果:

  • 試験の途中で、同様のデザインであるNEJ002試験やIPASS試験の結果が報告され、ハザード比0.48、必要イベント数 78に変更され、症例登録も中止し、最終解析が計画された。
  • 2006年3月31日〜2009年6月22日の期間に36施設より177例が登録され、GEF群には88例、化学療法群には89例が割り付けられた。
  • 追跡期間中央値は81日 (範囲 74-1253日)であり、GEF群の投与期間中央値は165日、化学療法群の投与サイクル数中央値は4サイクルであった。
  • del19変異の割合は、GEF群 58%、化学療法群43%とGEF群で高かった。その他、両群間で、患者背景に明らかな差は認められなかった。
1. 無増悪生存期間(主要評価項目)
  中央値 95%信頼区間 (CI) HR 0.489      
(95%CI: 0.336-0.710)
p < 0.0001     
GEF群 9.2ヶ月 8.0 – 13.0ヵ月
化学療法群 6.3ヶ月 5.8 – 7.8ヵ月
2. 全生存期間
  中央値 95%CI HR 1.638     
(95%CI: 0.749-3.582)
p = 0.211     
GEF群 30.9ヶ月 24.1ヵ月-NA
化学療法群 未到達 15.0ヵ月-NA
3. 奏効割合
  中央値 p < 0.0001
GEF群 62.1%
化学療法群 32.2%
4. 有害事象
  GEF群 (N=87) 化学療法群 (N=88)
  全Grade Grade≥3 全Grade Grade≥3
皮疹 74 2 7 0
AST増加 61 14 17 1
ALT増加 61 24 35 2
皮膚乾燥 47 0 3 0
下痢 47 1 35 0
疲労 34 2 73 2
爪囲炎 28 1 1 0
口内炎 19 0 13 0
悪心 15 1 83 3
便秘 14 0 39 0
好中球数減少 7 0 81 74
血小板数減少 12 0 29 0
貧血 33 0 79 15

GEF群で最も多く認められた有害事象は皮疹で、次いで肝障害、皮膚乾燥、下痢であった。
化学療法群で最も多く認められた有害事象は悪心、骨髄抑制、疲労、脱毛であった。
GEF群の2例で間質性肺疾患を認め、1例が死亡した。一方、化学療法群では治療関連死亡は認めなかった。

5. サブ解析:無増悪生存期間(アファチニブ群 vs 化学療法群)
    症例数 ハザード比 95%信頼区間
全体   172 0.489 0.336-0.710
性別 女性 119 0.418 0.267–0.654
  男性 53 0.671 0.337–1.334
喫煙歴 なし 118 0.466 0.297–0.732
  あり 54 0.575 0.294–1.123
病期 術後再発 71 0.574 0.313–1.052
  IIIB/IV期 101 0.333 0.203–0.544
遺伝子変異 Del19 87 0.453 0.268–0.768
  L858R 85 0.514 0.294–0.899
結語
未治療EGFR遺伝子変異陽性NSCLC患者において、GEFはプラチナ併用化学療法と比較して無増悪生存期間の有意な延長を示した。本試験の結果により、GEFはEGFR遺伝子変異陽性NSCLCの標準治療の一つとなり得ることが示された。
執筆:静岡県立静岡がんセンター 呼吸器内科 レジデント 宮脇 太一 先生
監修:静岡県立静岡がんセンター 呼吸器内科 医長 和久田 一茂 先生

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