膵癌 ACCORD 11

FOLFIRINOX versus Gemcitabine for Metastatic Pancreatic Cancer.

Conroy T., Desseigne F., Ychou M. et al. N Engl J Med 2011; 364: 1817-25. [PubMed]

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対象疾患 治療ライン 研究の相 主要評価項目 実施地域 日本の参加
膵癌 一次治療 第2/3相 第2相:有効性
第3相:全生存期間
海外(フランス) なし

試験名 : ACCORD11

レジメン: FOLFIRINOX vs ゲムシタビン

登録期間: 2005年12月〜2009年10月

背景

前臨床研究で、イリノテカンはフルオロウラシルとロイコボリンの前に投与すると相乗効果を持つことが示されている。オキサリプラチンはフルオロウラシルとの併用でのみ、膵癌に対する臨床効果を持ち、in vitroでイリノテカンとの相乗効果が示されている。フルオロウラシル、ロイコボリン、イリノテカン、オキサリプラチンの併用レジメンは、第1相試験において、膵癌に対して抗腫瘍効果を示した。PS良好な膵癌に対して、FOLFIRINOXレジメンの第2相試験が実施され、有望な治療効果が示されたため、今回のランダム化第2/3相試験(ACCORD11試験)の実施に至った。

シェーマ

統計学的事項

主要評価項目:全生存期間(第3相パート)

本試験の第3相パートはGEM群を対照としてFOLFIRINOX群の全生存期間のハザード比が0.70となることを検証する優越性試験として設計され、検出力80%、両側α=0.05として、360例の登録・250イベントが必要と設定された。

試験結果:

  • 2005年12月から2009年10月にフランスの48施設から342例が登録された。
  • 最終解析のデータカットオフは、2010年4月に行われた。
  • 患者背景に大きな隔たりは認めなかったが、FOLFIRINOX群では肺転移が有意に少なかった(19.5% vs. 28.7%, P=0.05)。
1. 全生存期間(第3相 主要評価項目)
  中央値 95%信頼区間 12ヶ月生存割合
FOLFIRINOX(n=171) 11.1ヶ月 9.0-13.1 48.4%
GEM(n=171) 6.8ヶ月 5.5-7.6 20.6%
HR 0.57 (95%C.I. 0.45-0.73)
P<0.001         
2. 無増悪生存期間
  中央値 95%信頼区間 6ヶ月無増悪生存割合 12ヶ月無増悪生存割合
FOLFIRINOX(n=171) 6.4ヶ月 5.5-7.2 52.8% 12.1%
GEM(n=171) 3.3ヶ月 2.2-3.6 17.2% 3.5%
HR 0.47 (95%C.I. 0.37-0.59)             
P<0.001                     
3. 奏効割合
  奏効割合



P<0.001
FOLFIRINOX(n=171) 31.6%(CR 1, PR 53)
GEM(n=171) 9.4%(PR 16)
4. 病勢制御割合
  病勢制御割合

P<0.001
FOLFIRINOX(n=171) 70.2%(CR 1, PR 53, SD 66)
GEM(n=171) 50.9%(PR 16, SD 71)
5. 有害事象
  FOLFIRINOX
(n=171)
GEM
(n=171)
  Grade 3以上 Grade 3以上
好中球減少 75/164 (45.7%) 35/167 (21.0%)
発熱性好中球減少 9/166 (5.4%) 2/169 (1.2%)
血小板減少 15/165 (9.1%) 6/168 (3.6%)
貧血 13/166 (7.8%) 10/168 (6.0%)
疲労 39/165 (23.6%) 30/169 (17.8%)
嘔吐 24/166 (14.5%) 14/169 (8.3%)
下痢 21/165 (12.7%) 3/169 (1.8%)
感覚性ニューロパチー 15/166 (9.0%) 0/169
ALT上昇 12/165 (7.3%) 35/168 (20.8%)
血栓塞栓症 11/166 (6.6%) 7/169 (4.1%)
結語
本試験の結果、FOLFIRINOXはゲムシタビンと比較し、毒性の発現は高かったが、生存の優越性を示した。FOLFIRINOXはPS良好の転移性膵癌患者に対する治療のオプションである。
執筆:杏林大学 腫瘍内科学 助教 岡野 尚弘 先生
監修:神奈川県立がんセンター 消化器内科・外科(肝胆膵) 部長 上野 誠 先生

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