対象疾患 | 治療ライン | 研究の相 | 主要評価項目 | 実施地域 | 日本の参加 |
---|---|---|---|---|---|
胃癌/食道胃接合部癌 | 三次治療以降 | 第3相 | 全生存期間 | 国際 | あり |
試験名 :TAGS [ClinicalTrials.gov Identifier:NCT02500043]
レジメン:FTD/TPI vs プラセボ
登録期間:2016年2月〜2018年1月
背景
FTD/TPIは標準治療に不応となった転移性結腸直腸癌において、二重盲検比較第3相試験(RECOURSE試験)の結果を基に本邦を始め、米国、欧州で承認となっている。
進行胃癌に関しては、本邦で既治療例を対象に第II相試験(EPOC1201試験)が実施され、生存期間中央値 8.7ヶ月、担当医評価の病勢制御率 66%と良好な有効性と忍容可能な安全性を示しており、今回の国際共同プラセボ対照二重盲検比較第3相試験(TAGS試験)の実施に至った。
進行胃癌に関しては、本邦で既治療例を対象に第II相試験(EPOC1201試験)が実施され、生存期間中央値 8.7ヶ月、担当医評価の病勢制御率 66%と良好な有効性と忍容可能な安全性を示しており、今回の国際共同プラセボ対照二重盲検比較第3相試験(TAGS試験)の実施に至った。
シェーマ
統計学的事項
主要評価項目:全生存期間
本試験はプラセボ群を対照としてFTD/TPI群の全生存期間のハザード比が0.70となることを検証する優越性試験として設計され、検出力90%、片側α=0.025として、500人の登録・384イベントが必要と設定された。試験結果:
- 2016年2月24日〜2018年1月5日の間に507例が登録され、FTD/TPI群に337例、プラセボ群に170例が割り付けられた。
- FTD/TPI群の211例(63%)、プラセボ群の106例(62%)は四次治療以降の登録であった。
1. 全生存期間(主要評価項目)
中央値 | 95%信頼区間 | 12ヶ月生存割合 | HR 0.69 (95%C.I. 0.56-0.85) 片側 p=0.00029 両側 p=0.00058 |
|
FTD/TPI | 5.7ヶ月 | 4.8-6.2 | 31 (21%) | |
プラセボ | 3.6ヶ月 | 3.1-4.1 | 10 (13%) |
2. 無増悪生存期間
中央値 | 95%信頼区間 | 6ヶ月無増悪生存割合 | HR 0.57 (95%C.I. 0.47-0.70) 両側 p<0.0001 |
|
FTD/TPI | 2.0ヶ月 | 1.9-2.3 | 37 (15%) | |
プラセボ | 1.8ヶ月 | 1.7-1.9 | 8 (6%) |
3. 奏効割合 (FTD/TPI n=290 / プラセボ n=145)
奏効割合 | 95%信頼区間 | p=0.28 | |
FTD/TPI | 13 (4%) | 2-8 | |
プラセボ | 3 (2%) | <1-6 |
4. 病勢制御割合 (FTD/TPI n=290 / プラセボ n=145)
病勢制御割合 | 95%信頼区間 | p<0.0001 | |
FTD/TPI | 128 (44%) | 38-50 | |
プラセボ | 21 (14%) | 9-21 |
5. ECOG PSが2以上に悪化するまでの期間
イベント | 中央値 | 95%信頼区間 | HR 0.69 (95%C.I. 0.56-0.85) 両側 p=0.00053 |
|
FTD/TPI | 264 (78%) | 4.3ヶ月 | 3.7-4.7 | |
プラセボ | 145 (85%) | 2.3ヶ月 | 2.0-2.8 |
6. 有害事象
FTD/TPI (n=335) | プラセボ (n=168) | |||
---|---|---|---|---|
全Grade | Grade 3以上 | 全Grade | Grade 3以上 | |
好中球数減少 | 176 (53%) | 114 (34%) | 7 (4%) | 0 |
白血球減少 | 78 (23%) | 31 (9%) | 3 (2%) | 0 |
血小板数減少 | 60 (18%) | 11 (3%) | 8 (5%) | 0 |
貧血 | 150 (45%) | 64 (19%) | 32 (19%) | 13 (8%) |
発熱性好中球減少 | 6 (2%) | 6 (2%) | 0 | 0 |
悪心 | 124 (37%) | 10 (3%) | 53 (32%) | 5 (3%) |
食欲不振 | 115 (34%) | 29 (9%) | 52 (31%) | 11 (7%) |
7. 投与調整(延期/減量)の原因となった有害事象
FTD/TPI (n=335) | プラセボ (n=168) | |||
---|---|---|---|---|
全Grade | Grade 3以上 | 全Grade | Grade 3以上 | |
全イベント | 195 (58%) | 148 (44%) | 37 (22%) | 29 (17%) |
好中球数減少 | 123 (37%) | 85 (25%) | 1 (1%) | 0 |
貧血 | 29 (9%) | 15 (4%) | 3 (2%) | 3 (2%) |
白血球減少 | 19 (6%) | 11 (3%) | 0 | 0 |
結語
本試験の結果、FTD/TPIはプラセボと比較して、3次治療以降の胃癌/食道胃接合部癌症例の全生存期間を延長し、忍容性も良好であることが示された。
執筆:北海道大学病院 消化器内科 特任助教 川本 泰之 先生
監修:北海道大学病院 消化器内科 助教 結城 敏志 先生
監修:北海道大学病院 消化器内科 助教 結城 敏志 先生