胆道癌に対する薬物療法の開発の変遷
進行胆道癌(肝内胆管癌を含む)では、少数例の報告のみで標準治療が確立していなかった。2010年にゲムシタビン(GEM)とゲムシタビン+シスプラチン(GC)を比較した第Ⅲ相試験(ABC-02)が英国から報告され、GC療法が標準治療として確立した。同時期に行われた本邦のGC療法の単群第Ⅱ相試験では、ABC-02試験に匹敵する成績が得られ、本邦においてもGC療法が標準治療と位置付けられた。その後、海外ではGC+ナブパクリタキセル、FOLFIRINOXなどの第Ⅲ相試験も行われているが、その結果は明らかになっていない。本邦においては、GEM+S-1療法の非劣性、GEM+CDDP+S-1療法の優越性が証明され、新たな治療オプションと位置付けられた。近年は、海外を中心に、分子標的薬の開発が盛んであり、FGFR2融合遺伝子に対するpemigatinib、IDH-1変異に対するivosidenib、BRAFV600Eに対するdabrafenib + trametinibなどの有用性が報告されている。また、免疫チェックポイント阻害薬の開発も複数進行中である。
周術期治療では、標準治療が確立していなかったが、欧米では、カペシタビン術後補助療法の成績が報告され、術後補助療法の標準としてコンセンサスが得られている。本邦では、カペシタビンの保険適応はなく、現在、S-1による術後補助療法の比較試験が進行中である。