はじめに
- 上野先生:
- 免疫チェックポイント阻害薬(ICI)が今後、肝細胞癌においても大きく治療を変えていくことが予想されます。我々臨床医としては、一度現状のエビデンスを把握した上で、今後どのように使っていくべきなのかを整理しておきたいと思います。
池田先生と私、上野の対談を3回に分けて配信します。第1回目の本日は、『肝細胞癌における免疫チェックポイント阻害薬の開発状況と現状のエビデンス』をテーマにお話しします。
それでは池田先生、よろしくお願いいたします。 - 池田先生:
- はい。それでは私の方から、ICIの開発状況と現状のエビデンスについて、まずは簡単にまとめさせていただきます。
【Summary】免疫チェックポイント阻害薬の開発状況と現状のエビデンス
肝細胞癌の一次薬物療法
肝細胞癌の一次薬物療法としては、プラセボと比較してSorafenib単剤療法が優れていることが2007年にSHARP試験で報告されました(図1)。その後、Asia-Pacific試験でも同様の結果が得られたことから、欧米並びにアジアでSorafenibは肝細胞癌に対する一次薬物療法の標準治療薬として位置づけられました。
それ以降はSorafenibとの比較試験として、Sunitinib、Sorafenib+Erlotinib、Brivanib、Linifanib、Sorafenib+5-FU+Cisplatin肝動注、Sorafenib+Doxorubicinなどが検討されましたが、全てネガティブな結果でした。ICIとしてはNivolumabも検討されましたが、ネガティブな結果であり、Sorafenibを超える治療は10年ほど現れませんでした。
そのような中、REFLECT試験でLenvatinibがSorafenibよりも優れていることが報告され、続いてIMbrave150試験でもAtezolizumab+BevacizumabのSorafenibに対する優越性が報告されています。
まず、過去の振り返りとしてNivolumabとPembrolizumabの試験について紹介いたします。