MSI-H固形癌 KEYNOTE-016:Expansion

Mismatch repair deficiency predicts response of solid tumors to PD-1 blockade

Le DT, Durham JN, Smith KN, et al. Science. 2017 Jul 28;357(6349):409-413. [PubMed]

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対象疾患 治療ライン 研究の相 主要評価項目 実施地域 日本の参加
大腸癌 三次治療以降 第2相 無増悪生存割合奏効割合 国際 なし
大腸癌以外の固形腫瘍 二次治療以降 無増悪生存割合

試験名 :KEYNOTE-016:Expansion

レジメン:ペムブロリズマブ

登録期間:2013年9月〜2016年9月

背景

 免疫チェックポイント阻害薬のバイオマーカーとしてPD-L1発現や遺伝子変異量(TMB)などが存在するが、全ての癌種においてバイオマーカーとなることを示されたものはない。ミスマッチ修復機能欠損は高頻度に体細胞変異をもたらす。先行研究では、ミスマッチ修復機能欠損を認める進行大腸癌においてPD-1抗体薬が有効であることを示された1)KEYNOTE-016】。
 今回、ミスマッチ修復機能欠損を認める他癌種においてもPD-1抗体薬が有効か検討された。

シェーマ

シェーマ

統計学的事項

主要評価項目:

  • immune-related response criteria (irRC) に基づく20週時点での無増悪生存割合 (コホートA、C)
  • irRCに基づく奏効割合 (コホートC)

試験結果:

  • 2013年9月から2016年9月の間に12の癌種の86例が登録された。
  • 生殖細胞解析がされた48%に当たる32例がリンチ症候群と診断された
  • 観察期間の中央値は12.5ヶ月であった。
1. 無増悪生存期間
無増悪生存期間中央値 1年無増悪生存期割合 2年無増悪生存期割合
未到達 64% 53%
2. 奏効割合
  n=84 95%信頼区間
CR
PR
SD
PD
NE
18 (21%)
28 (33%)
20 (23%)
12 (14%)
8 (9%)
-
奏効割合 53% (42-64)
病勢制御割合 77% (66-85)
  • 奏効までの期間の平均値:21週
  • 完全奏効までの期間の平均値:42週
  • 大腸癌と大腸癌以外の固形癌の奏効割合は同程度であった(それぞれ52%、54%)。
  • リンチ症候群関連腫瘍とリンチ症候群非関連腫瘍の奏効割合は同程度であった(それぞれ52%、54%)。
  • Pembrolizumabに初期耐性であった12例のうち3例でexome解析が行われたが、nonsynonymous mutation数は奏効例と比較して違いがなかった。また初期耐性例でB2M mutationを認めなかった。
3. 全生存期間
  全生存期間中央値 1年全生存期間割合 2年全生存期間割合
  未到達 76% 64%
95%信頼区間 NR-NR NA 53-78%
4. 有害事象
  (N=84)
  All Grade Grade 1 or 2 Grade 3 or 4
全有害事象 62 (74%) 62 (74%) 17 (20%)
貧血 6 (7%) 4 (5%) 1 (1%)
血小板数減少 4 (5%) 3 (4%) 1 (1%)
疲労 21 (25%) 19 (23%) 2 (2%)
感染 5 (6%) 5 (6%) 0
下痢、大腸炎 19 (23%) 14 (17%) 5 (6%)
悪心、嘔吐 11 (13%) 10 (12%) 1 (1%)
胃炎 4 (5%) 3 (4%) 1 (1%)
肝機能障害 4 (5%) 4 (5%) 0
膵炎 5 (6%) 0 5 (6%)
甲状腺機能障害 18 (21%) 18 (21%) 0
関節痛 14 (17%) 12 (14%) 2 (2%)
ざ瘡 30 (36%) 29 (35%) 1 (1%)
神経障害 5 (6%) 4 (5%) 1 (1%)
急性腎障害 4 (5%) 3 (4%) 1 (1%)
結語
ミスマッチ修復機構が欠損している固形癌に対して、免疫チェックポイント阻害薬は癌種に関わらず有効である。
References
1) Le DT, et al. N Engl J Med. 2015 Jun 25;372(26):2509-20
執筆:静岡県立静岡がんセンター 消化器内科 副医長 伏木 邦博 先生
監修:近畿大学医学部 内科学教室 腫瘍内科部門 医学部講師 川上 尚人 先生

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