大腸癌 C-TASK FORCE
TAS-102 plus bevacizumab for patients with metastatic colorectal cancer refractory to standard therapies (C-TASK FORCE): an investigator-initiated, open-label, single-arm, multicentre, phase 1/2 study
Kuboki Y, et al. Lancet Oncol. 2017 Sep;18(9):1172-1181 [PubMed]
対象疾患 |
治療ライン |
研究の相 |
主要評価項目 |
実施地域 |
日本の参加 |
大腸癌 |
二次治療以降 |
第1/2相 |
16週無増悪生存割合 |
国内 |
あり |
試験名 :C-TASK FORCE
レジメン:トリフルリジン・チピラシル+ベバシズマブ
登録期間:2014年2月25日〜2014年6月23日
トリフルリジン・チピラシル(FTD/TPI)は標準治療抵抗性となった切除不能大腸癌に対してプラセボとの第3相試験(
RECOURSE試験)で全生存期間を有意に延長したことから、本邦で薬事承認されている
1)。前臨床のデータでFTD/TPIにベバシズマブ(BEV)を追加併用することで相乗効果が認められており、今回FTD/TPI+BEV併用療法の有効性と安全性を評価するための第1/2相試験が行われた。
シェーマ
主な適格基準
- フッ化リミジン、オキサリプラチン、イリノテカン、VEGF阻害薬、抗EGFR抗体薬(RAS 野生型のみ)のすべてに不応・不耐である
- FTD/TPIの治療歴がない
- レゴラフェニブの投与歴がない
第1相
主要評価項目:第2相試験の推奨用量
3+3デザインで1コース目の用量制限毒性(DLT)の発現を評価した。
Level 1(開始用量): FTD/TPI 35mg/m2、BEV 5mg/kg
Level -1:FTD/TPI 30mg/2、BEV 5mg/kg
DLTは①Grade3以上の非血液毒性(制吐剤でコントロール可能な嘔気、嘔吐、高血圧や電解質異常は除く)、②7日間以上持続するGrade4の好中球減少、③発熱性好中球減少症、④Grade4の血小板減少、⑤次コースの開始が2週間以上遅延する有害事象と定義された。
第2相
主要評価項目:16週無増悪生存割合(中央判定)
16週無増悪生存割合の期待値を50%、閾値を25%、α=0.1、β=0.2として、必要症例数は21例とされた
試験結果:
- 2014年3月25日~2014年7月23日に25例(第1相パート6例、第2相パート19例)が登録された。
- PS 0は76%(19/25例)、RAS 野生型は40%(10/25例)であった。
- 第1相部分ではDLTは発現せず、Level1が第2相パートにおける推奨投与量として決定された。
1. 16週時点における無増悪生存割合(中央判定)(主要評価項目)
|
中央値 |
80%信頼区間 |
FTD/TPI+BEV(n=21) |
42.9% |
27.8-59.0 |
2. 16週時点における無増悪生存割合(担当医評価)
|
中央値 |
95%信頼区間 |
FTD/TPI+BEV(n=21) |
60% |
39-79 |
3. 無増悪生存期間
n=25 |
中央値 |
95%信頼区間 |
中央判定 |
3.7か月 |
2.0-5.4 |
担当医評価 |
5.6か月 |
3.4-7.6 |
4. 全生存期間
|
中央値 |
95%信頼区間 |
FTD/TPI+BEV(n=25) |
11.4か月 |
7.6-13.9 |
5. 奏効割合/病勢制御割合
n=25 |
奏効割合(95%信頼区間) |
病勢制御割合(95%信頼区間) |
中央判定 |
0%(0.0-13.7) |
64%(42.5-82.0) |
担当医評価 |
4%(0.1-20.4) |
72%(50.6-87.9) |
6. 有害事象
n=25 |
Grade 1-2 |
Grade 3 |
Grade 4 |
好中球減少 |
24% |
52% |
20% |
白血球減少 |
48% |
44% |
0% |
貧血 |
36% |
12% |
4% |
血小板減少 |
52% |
12% |
0% |
発熱性好中球減少症 |
0% |
16% |
0% |
タンパク尿 |
20% |
8% |
0% |
食欲不振 |
56% |
4% |
0% |
口内炎 |
36% |
4% |
0% |
嘔気 |
52% |
0% |
0% |
下痢 |
44% |
0% |
0% |
嘔吐 |
32% |
0% |
0% |
疲労 |
24% |
0% |
0% |
血痰 |
24% |
0% |
0% |
鼻出血 |
20% |
0% |
0% |
上気道感染 |
16% |
0% |
0% |
標準治療不応の切除不能大腸癌に対するFTD/TPI+BEV併用療法は有効であり、忍容性が良好であることが示唆された。
1) Mayer RJ, Van Cutsem E, Falcone A, et al. Randomized trial of TAS-102 for refractory metastatic colorectal cancer. N Engl J Med 2015; 372: 1909-1919. [
Pubmed]
執筆:愛知県がんセンター病院 薬物療法部 レジデント 緒方 貴次 先生
監修:愛知県がんセンター病院 薬物療法部 医長 舛石 俊樹 先生