大腸癌 TRIBE

Initial Therapy with FOLFOXIRI and Bevacizumab for Metastatic Colorectal Cancer

Loupakis F, Cremolini C, Masi G, et al. N Engl J Med. 2014;371(17):1609-18. [PubMed]

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対象疾患 治療ライン 研究の相 主要評価項目 実施地域 日本の参加
大腸癌 一次治療 第3相 無増悪生存期間 海外(イタリア) なし

試験名 :TRIBE

レジメン:FOLFOXIRI+Bev vs FOLFIRI+Bev

登録期間:2008年7月〜2011年5月

背景

FOLFIRIやFOLFOXとベバシズマブ(Bev)との併用レジメンは切除不能大腸癌に対し広く使用されており、一次治療ではBevとFOLFIRI、FOLFOXのどちらを選択しても同等の治療成績であることが報告されている。
重要な第3相試験であるAVF2107g試験から急速静注5-FU+イリノテカン(IRI)にBevを併用することで奏効割合(RR)、無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)におけるBevの上乗せ効果があることが報告され、第4相試験からも同様に5-FU持続静注+IRIに対するBevの上乗せ効果が報告された。
また、FOLFOXIRIはFOLFIRIに対するRR、PFS、OS における優越性がGONOグループで行われた第3相試験により示されており、FOLFOXIRIとBevとの併用レジメンは第2相試験ではRRが77%、PFS中央値が13.1ヶ月、OS中央値が30.9ヶ月と有望な結果を示した。
これらの結果をもとに、前治療歴のない切除不能大腸癌に対するFOLFOXIRI+BevとFOLFIRI+Bevとを比較する第3相試験(TRIBE試験)が行われた。

シェーマ

統計学的事項

主要評価項目:無増悪生存期間

本試験の主要評価項目はPFSとした。HRを0.75、検出力を80%、両側α=0.05と設定すると、450例の登録、379イベントが必要とされた。

試験結果:

  • 2008年7月〜2011年5月の期間にイタリアの34施設より508例が登録され、FOLFOXIRI+Bev群に252例、FOLFIRI+Bev群に256例が割付られた。両群ともに2例が治療を実施されず安全性の解析からは除外された。
  • データカットオフは2013年4月26日、観察期間中央値は32.2ヶ月であった。
  • 両群の患者背景に大きな隔たりは認めなかったが、FOLFOXIRI+Bev群で右側結腸原発例が多く認められた(34.9% vs 23.8%, p=0.02)。
  • 12.6%の患者がOXによる術後補助化学療法を受けていた。
  • KRAS遺伝子検査は407例(80.1%)で行われ、39.4%に変異が認められた。
    BRAF遺伝子検査は406例(79.9%)で行われ、5.5%に変異が認められた。
  • 12サイクルの治療を完遂した症例は、 FOLFOXIRI+Bev群で142例、 FOLFIRI+Bev群で139例であった。そのうちメンテナンス治療へ移行したのはFOLFOXIRI+Bev群 130例(ITTの51.6%)、FOLFIRI+Bev群 114例(ITTの44.5%)であった。
1. 無増悪生存期間(主要評価項目)
  中央値 95% CI HR 0.75 (95%C.I. 0.62-0.90)
p=0.003         
FOLFOXIRI+Bev(n=252) 12.1ヶ月 10.9-13.2
FOLFIRI+Bev(n=256) 9.7ヶ月 9.3-10.9
2. 奏効割合
  奏効割合 95% CI Odds Ratio 1.64  
(95%C.I. 1.15-2.35)
p=0.006    
FOLFOXIRI+Bev(n=252) 65.1%(CR 12例、PR 152例) 58.8-70.9
FOLFIRI+Bev(n=256) 53.1%(CR 8例、PR 128例) 46.8-59.3
3. 全生存期間
  中央値 95% CI HR 0.79 (95%C.I. 0.63-1.00)
p=0.054         
FOLFOXIRI+Bev(n=252) 31.0ヶ月 26.9-35.1
FOLFIRI+Bev(n=256) 25.8ヶ月 22.7-30.8
4. 投与コース数
  中央値 Range
FOLFOXIRI+Bev(n=252) 11 1-21
FOLFIRI+Bev(n=256) 12 1-25

*12コース以上はプロトコール規定違反

5. 減量を必要とした割合と各薬剤のRelative Dose Intensity
  減量 5-FU IRI OX
FOLFOXIRI+Bev(n=252) 21.4% 73% 74% 75%
FOLFIRI+Bev(n=256) 8.2% 83% 84% -

*Bevの減量はプロトコル上許可されなかった

6. 二次治療
  FOLFOXIRI+Bev(n=252) FOLFIRI+Bev(n=256)
一次治療のPD後も生存していた患者 202(80.2%) 220(85.9%)
何らかの二次治療を受けた患者 166/202(82.2%) 173/220(78.6%)
二次治療の内容,% (n=166) (n=173)
化学療法+Bev doublet(OXベース) 7% 19%
  doublet(IRIベース) 16% 11%
  FOLFOXIRI 7% 1%
化学療法+抗EGFR抗体薬 IRIベース 31% 15%
化学療法のみ doublet(OXベース) 8% 44%
  doublet(IRIベース) 21% 4%
  FOLFOXIRI 1% 0%
  フッ化ピリミジン単独 4% 2%
  マイトマイシンC 4% 0%
その他の治療   1% 4%
7. 有害事象(CTCAE ver.3.0)
  FOLFOXIRI+Bev(n=250) FOLFIRI+Bev(n=254) P値
  Grade 3 or 4 Grade 3 or 4  
好中球数減少 125 (50.0%) 52 (20.5%) <0.001
発熱性好中球数減少 22 (8.8) 16 (6.3) 0.32
下痢 47 (18.8) 27 (10.6) 0.01
粘膜炎 22 (8.8) 11 (4.3) 0.048
悪心 7 (2.8) 8 (3.2) 1.00
嘔吐 11 (4.4) 8 (3.2) 0.49
無力症 30 (12.0) 23 (9.1) 0.31
末梢神経障害 13 (5.2) 0 <0.001
高血圧 13 (5.2) 6 (2.4) 0.11
静脈血栓症 18 (7.2) 15 (5.9) 0.59
重篤な有害事象 51 (20.4) 50 (19.7) 0.91
結語
切除不能大腸癌に対する一次治療において、FOLFOXIRI+BevはFOLFIRI+Bevと比較し有害事象の頻度は高くなるものの、良好な抗腫瘍効果を示した。
執筆:静岡県立静岡がんセンター 消化器内科 レジデント 古田 光寛 先生
監修:静岡県立静岡がんセンター 治験管理室 部長、消化器内科 医長 山﨑 健太郎 先生

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