対象疾患 | 治療ライン | 研究の相 | 主要評価項目 | 実施地域 | 日本の参加 |
---|---|---|---|---|---|
進行肝細胞癌 | 一次治療 | 第3相 | 全生存期間 | 国際 | あり |
試験名: REFLECT(日本人サブ解析)
レジメン:レンバチニブ vs ソラフェニブ
登録期間:2013年3月〜2015年7月
背景
レンバチニブ(LEN)はVEGFR1-3、FGFR1-4、KIT及びRETを阻害するマルチキナーゼ阻害薬である。進行肝細胞癌に対して、LENとソラフェニブ(SFB)を比較する第3相試験(REFLECT試験)が実施され、全生存期間(OS)はLEN群13.6ヶ月、SFB群12.3ヶ月、ハザード比0.92(95%信頼区間:0.79-1.06)であり、LENの非劣性が証明された。今回、同試験における日本人サブグループの解析結果が報告された。
シェーマ
統計学的事項
主要評価項目:全生存期間
日本人サブグループの解析は、ITT集団で行われた。全生存期間および無増悪生存期間曲線はKaplan-Meier法を用いて推定し、両群間の比較は、log-rank検定を用いて検定された。試験結果:
- 2013年3月から2015年7月までに全体で954人が登録され、そのうち日本人は168人(LEN群81人、SFB群87人)だった。
- 日本人の患者背景は全体と比べて、高齢でECOG-PSが良好で、BCLCステージBやHCVの割合が高く、治療前のAFPは低値であった。
- 両群の患者背景は、LEN群でHCV陽性例の割合がやや低い傾向(46% vs 56%)にあったことを除いて、大きな偏りはなかった。
1. 全生存期間(主要評価項目)
中央値 | 95%信頼区間 | HR 0.90 (95%C.I. 0.62-1.29) |
|
LEN群 | 17.6ヶ月 | 12.2-23.0 | |
SFB群 | 17.8ヶ月 | 11.9-19.5 |
2. 無増悪生存期間
中央値 | 95%信頼区間 | HR 0.63 (95%C.I. 0.44-0.90) p=0.0104 |
|
LEN群 | 7.2ヶ月 | 5.4-9.1 | |
SFB群 | 4.6ヶ月 | 3.5-5.4 |
3. 奏効割合
奏効割合 | OR 7.03 (95%C.I. 2.46-20.09) p=0.0001 |
|
LEN群 | 29.6% | |
SFB群 | 6.9% |
4. 有害事象(CTCAE ver.4.0)
LEN群(N=81) | SFB群(N=87) | |||
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全Grade | Grade 3以上 | 全Grade | Grade 3以上 | |
手掌・足底発赤知覚不全症候群 | 42 (51.9%) | 6 (7.4%) | 64 (73.6%) | 15 (17.2%) |
高血圧 | 40 (49.4%) | 26 (32.1%) | 42 (48.3%) | 23 (26.4%) |
食欲不振 | 39 (48.1%) | 6 (7.4%) | 15 (17.2%) | 0 (0.0%) |
蛋白尿 | 37 (45.7%) | 7 (8.6%) | 19 (21.8%) | 1 (1.1%) |
甲状腺機能低下症 | 33 (40.7%) | 0 (0.0%) | 4 (4.6%) | 0 (0.0%) |
下痢 | 30 (37.0%) | 3 (3.7%) | 32 (36.8%) | 2 (2.3%) |
結語
REFLECT試験の日本人サブグループ解析により、REFLECTの全体集団と同様に、日本人の進行肝細胞癌患者においても1次化学療法としてLENを使用した場合、SFBと比較して有意に無増悪生存期間、奏効割合を改善することが明らかになった。
関連論文
・ Kudo M, Finn RS, Qin S. et al, Lenvatinib versus sorafenib in first-line treatment of patients with unresectable hepatocellular carcinoma: a randomized phase 3 non-inferiority trial, Lancet 2018; 391: 1163-73. [Pubmed]
・ 臨床試験サマリ(肝細胞癌) REFLECT 試験
執筆:国立がん研究センター東病院 肝胆膵内科 澁木 太郎 先生
監修:国立がん研究センター東病院 肝胆膵内科 科長 池田 公史 先生
監修:国立がん研究センター東病院 肝胆膵内科 科長 池田 公史 先生