膵癌 GnP Japanese P-II

Phase I/II study of nab-paclitaxel plus gemcitabine for chemotherapy-naïve Japanese patients with metastatic pancreatic cancer.

Ueno H, Ikeda M, Ueno M, et al. Cancer Chemother Pharmacol. 2016 ; 77(3): 595-603. [PubMed]

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対象疾患 治療ライン 研究の相 主要評価項目 実施地域 日本の参加
膵癌 一次治療 第1/2相 第1相:忍容性
第2相:奏効割合
国内 あり

試験名 :GnP Japanese P-II

レジメン:ゲムシタビン+ナブパクリタキセル併用療法(GnP)

登録期間:2012年11月〜2013年7月

背景

ナブパクリタキセルは、アルブミンがパクリタキセルを内包したナノ粒子である。パクリタキセル投与時の問題であるアナフィラキシーの可能性を低減していること、および、腫瘍内パクリタキセル濃度を高められることが利点である。進行膵癌を対象として、それまでの標準治療であったゲムシタビン単剤療法とゲムシタビン+ナブパクリタキセル併用療法(GnP療法)を比較した国際共同第3相試験(MPACT試験)が行われ、GnP療法が生存期間の有意な延長を示した。しかしMPACT試験に日本は参加しておらず、日本人におけるGnP療法の有効性および安全性は明らかでなく、薬物動態についても報告がない。そこで、日本人の進行膵癌患者を対象に、GnP療法の有効性、安全性、薬物動態を評価するため、本試験が実施された。

シェーマ

統計学的事項

主要評価項目:忍容性(第1相パート)、奏効割合(第2相パート)

第1相パートの主要評価目的は忍容性であり、 6例中4例以上に許容できない毒性の発現がなければ第2相パートへ移行することとした。
第2相パートの主要評価目的はRECISTv1.1に基づく奏効割合であり、MPACT試験を含む過去の報告から、奏効割合の閾値を10%、期待値を30%とし、検出力80%、片側α=0.05として、29例の登録が必要と設定された。

試験結果:

  • 2012年11月から2013年7月の間に、国内の8施設から34例が登録された(第1相パート 7例、第2相パート 27例)。
  • 第1相パートではインラインフィルターを用いてナブパクリタキセルの投与を行った1例が評価対象外となったが、その他の6例に許容できない毒性は認められず、第2相パートへと進んだ。
  • データカットオフは、観察期間中央値13.6ヶ月の時点で行われた。
  • 膵原発巣の縮小率を示すwater fall plotでは、26例中4例で70%を超える縮小を認めた。

第2相パート

1. 奏効割合(主要評価項目)
最良効果 N % 95%信頼区間
CR 0 0  
PR 20 58.8  
SD 12 35.3  
PD 1 2.9  
NE 1 2.9  
奏効割合(CR+PR) 20 58.8 40.7-75.4(P<0.0001)
病勢制御割合(CR+PR+SD) 32 94.1 80.3-99.3
2. 無増悪生存期間
中央値 95%信頼区間
6.5ヶ月 5.1-8.3
3. 全生存期間
中央値 95%信頼区間
13.5ヶ月 10.6-未到達
4. 有害事象(CTCAE ver.4.0)
  全Grade Grade 3以上
  n % n %
血液毒性        
 血小板減少 30 88.2 5 14.7
 好中球減少 29 85.3 24 70.6
 白血球減少 28 82.4 19 55.9
 貧血 22 64.7 5 14.7
 リンパ球減少 10 29.4 5 14.7
 発熱性好中球減少症 2 5.9 2 5.9
非血液毒性        
 脱毛 31 91.2 NA NA
 末梢感覚性神経障害 28 82.4 4 11.8
 食欲低下 19 55.9 1 2.9
 皮疹 16 47.1 2 5.9
 吐気 16 47.1 1 2.9
 倦怠感 13 38.2 NA NA
 下痢 12 35.3 2 5.9
 ALT上昇 12 35.3 1 2.9
 低Na血症 2 5.9 2 5.9
結語
GEM+Nab-PTX併用療法は日本人膵癌患者に対しても有望な有効性を示し、注意深い観察と適切な支持療法を行えば忍容可能と考えられた。
執筆:神奈川県立がんセンター 消化器内科(肝胆膵) 医長 小林 智先生
監修:神奈川県立がんセンター 消化器内科(肝胆膵) 部長 上野 誠 先生

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