大腸癌化学療法の変遷(切除不能進行再発)
1. 殺細胞性抗癌薬単剤療法

総論

切除不能進行再発大腸癌において化学療法とBest supportive care(BSC)の比較研究は、1993年にScheitahuerらによって報告され、5-Fluorouracil(5-FU)/Leucovorin(LV)/Cisplatin併用とBSCのランダム化比較試験において全生存期間(Overall survival:OS)中央値は、11か月 vs 5.0か月(p=0.006)と有意に化学療法群の生存が長いことを示した1
大腸癌の化学療法は、1957年に開発された5-FUが半世紀にわたり中心的な役割を担ってきた。長い間5-FU以外に有効性を示す薬剤が登場せず、その投与方法の工夫やbiochemical modulationの概念に基づいたLVとの併用療法が検討されてきた。急速静注(Bolus)5-FUにおける奏効割合は10%、持続静注(infusional)5-FUではbolus投与よりも約2倍の奏効割合が報告されたものの、生存延長には十分に寄与しなかった2
1980~90年代前半にかけて、LVとの組み合わせによる5-FUの効果の増強が得られ、進行再発大腸癌患者の生存期間は10か月を超えるようになった。また、経口フッ化ピリミジンの5-FU/LVに対する非劣勢を証明した複数の臨床試験の結果が報告され、化学療法の利便性の向上に寄与した。本項では大腸癌化学療法の一次治療、二次治療における殺細胞性抗癌薬の単剤療法に関して述べる。

1.1 5-FU/LV

5-FUにbiomodulatorとしてのLVを併用することでその効果が増幅することが報告され3、5-FU/LVとしてさまざまな投与法の開発が進められた。

1.1.1 Machoverレジメン

5-FUと高用量LVの併用レジメンである。1986年に最終報告がなされ、切除不能進行再発大腸癌に対する奏効割合は32.6%(未治療例38.9%、既治療例21.9%)であった。また、OS中央値は11か月であった4。1988年には、Erlichmanらにより5-FUとの比較試験の結果が報告され、奏効割合は5-FU群7%に対し、5-FU/LV群33% (p<0.0005) とLVの上乗せ効果が証明された5。本レジメンの主な有害事象として、口腔粘膜炎(44%)、下痢(39%)、発熱(12%)、脱毛症(11%)、結膜炎・流涙(11%)が認められた4

Machoverレジメン

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