大腸癌化学療法の変遷(切除不能進行再発)
3. 分子標的治療

このエントリーをはてなブックマークに追加

総論

2000年代に入り、大腸がんの領域にも癌の増殖・転移にかかわる特定の分子に標的を絞った分子標的治療が臨床導入され、既存の化学療法との併用によって、さらなる生存期間の延長および奏効割合の向上が図られた。分子標的薬のなかには、期待される効果ががんの分子生物学的な特性によって異なる薬剤もあるため、各薬剤における効果/副作用予測因子(バイオマーカー)の探索が積極的に進められ、バイオマーカーによる患者選択という概念が現実のものとなり、個別化医療という新たな時代の幕開けを迎えた。

3.1 Bevacizumab

血管内皮細胞増殖因子(VEGF: vascular endothelial growth factor)は多くの癌種で発現していることが知られており、さらにその高発現は腫瘍の浸潤や転移、再発および予後に関連する。Bevacizumabは、VEGFに対するキメラ型ヒト化IgG1モノクローナル抗体であり、腫瘍血管新生を抑制することにより、腫瘍の増殖あるいは転移を抑制することが期待される。 Bevacizumabは米国では2004年2月に進行大腸癌に対する1次治療として承認されている。日本においても2007年4月に「治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌」に対する治療薬として承認された。 Bevacizumabを始め血管新生阻害薬に起因する特徴的な有害事象としては、高血圧、蛋白尿、出血、消化管穿孔、瘻孔、血栓塞栓症などが知られている。

3.1.1 IFL+Bevacizumab

Hurwitzらは初回治療例を対象に、IFLをコントロールアームとして、IFL+Bevacizumabと5-FU/LV+Bevacizumabの無作為化第III相試験を行った(AVF2107g試験)。中間解析において、IFL+Bevacizumabの安全性が認容可能であったことより、本試験はIFLとIFL+Bevacizumabの2群間の比較試験として継続された。その結果、主要評価項目であるOS(IFL+Bevacizumab vs. IFL=20.3か月 vs. 15.6か月, HR=0.66, p<0.001)およびPFS(各々10.6か月 vs. 6.2か月, HR=0.54, p<0.001)、奏効割合(各々45% vs. 35%, p=0.004)のいずれにおいてもBevacizumab併用群が上回った。有害事象は、Bevacizumab併用群で高血圧の頻度が有意に多かったものの、その他については有意な差を認めなかった1)。この結果を受けて2004年2月に米国FDAは、切除不能進行・再発大腸癌に対する1次治療において、5-FUをベースとしたレジメンの併用薬としてBevacizumabを承認した。

IFL+Bevacizumab

このコンテンツは会員限定です。ログインをしてご覧ください。

ユーザ登録 ログイン

2. 殺細胞性抗癌薬併用療法へ  | キャンサーwiki 一覧へ