結腸がん 術後補助化学療法の変遷
1. 術後補助化学療法の有効性の確立:5-FUを主軸とした治療開発

総論

 術後補助化学療法は、手術にて治癒切除が行われた症例に対して、術後再発を抑制し、予後の改善を目的に実施される全身化学療法である(1)。本邦における「大腸癌治療ガイドライン(2)」では、術後補助化学療法の適応はR0 切除が行われたstage Ⅲ大腸がん(結腸がん・直腸がん)と記載され、いわゆるhigh risk stage Ⅱ大腸がんには十分なインフォームド・コンセントのもとに適応を考慮すると記載されている。
 術後補助化学療法の評価は、無病生存期間(disease-free survival;DFS)と全生存期間(overall survival;OS)を指標として行われ、臨床試験の結果を基に改良が加えられてきた。局所進行直腸がんに対する治療戦略は本邦と欧米では異なる点が多いため、本稿では結腸がんに対する術後補助化学療法の変遷について解説する。

1.1 5-FU/LV

1.1 5-FU療法

 1957年にHeidelbergerらが5-FUを開発して以来(3)、5-FUは大腸がん薬物療法の第一選択薬として用いられてきた。切除不能例のみならず、術後補助化学療法に関しても5-FU単剤もしくは多剤併用療法による中小規模の臨床試験が行われてきたが、1988年にBuyseらが報告した5-FU併用レジメンの有効性に関するメタ解析(4)では、5年DFSや5年OSにおいて統計学的有意差は認められなかった。

1.2 MOF療法

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