第9回座談会 第一部
-膵癌化学療法の二次治療以降の治療戦略-

  

はじめに

膵癌の化学療法の二次治療として、2020年9月、ナノリポソーマルイリノテカンが承認され、NAPOLI-1レジメンも使用できるようになった。また、BRCA 遺伝子変異陽性の治癒切除不能な膵癌における白金系抗悪性腫瘍剤を含む化学療法後の維持療法として、オラパリブも2020年12月に承認され、使用可能となっている。そして、遺伝子パネル検査として、Foundation One Liquidも近日、使用可能となる予定である。このように、膵癌化学療法の二次治療以降の治療戦略がホットな話題であり、3人の膵がんのエキスパートの先生に、それぞれの治療、検査について解説いただき、各施設での現状についてDiscussionしたいと思います。

第一部 膵癌二次治療

池田先生:
 第一部では膵癌の二次治療について話し合っていきたいと思います。はじめに上野先生から治療戦略の概要をお示しいただきます。
上野先生:
 膵癌診療ガイドラインでも示されているように“5-FUとGEMを使い切る”ことが主たる治療戦略になります。二次治療は一次治療によって決定されるところがあり、一次治療でFOLFIRINOXを使えばGEM+nab-PTX、そしてGEM+nab-PTXを使えばFOLFIRINOXかS-1が代表的な選択肢です。当院を含めた経験では一次治療でFOLFIRINOXを選択したのは約2割、GEM+nab-PTXを選択したのは約8割で、FOLFIRINOX後ではGEM+nab-PTXを約8割、GEM+nab-PTX後ではFOLFIRINOXを約2割、S-1を約6割に投与してきました。